嘘つきは恋の始まり

 何でそんな流れになったのか分からないけど気付いたらそうなってたってこと、俺以外の奴もあるんじゃないかと思う。いや、勿論、今までの俺はそんなことなかった。だって俺は最強だから。どんな呪霊も簡単に祓えるし、雑魚に命狙われたって大したことじゃない。平気だ。余裕で自分で対処出来る。
 でもこれは、全然何でそうなったのか分からない。だって傑と――初めて出来た親友と、初めてセックスしてるなんて。俺の脳じゃ全然対処出来ないことなんて、これが初めてだったかも知れない。


「悟はさあ、セックスしたことあるの?」
 傑の部屋で傑のベッドに座ってだらだら映画見てたら、傑がテレビの画面見つめたままで俺に訊いた。
 俺は最初、何を訊かれているのか分からなかった。傑の口から『せっくす』なんて単語が出て来るなんて、というか、俺達の間でそんなシモの話なんて今までしたことなかった。所謂恋バナですらしたことない。多分、俺が全然興味なくてそんな話しないから。傑は相手の興味のある話題だけを選ぶのが抜群に上手い。それに気付いたのは傑と仲良くなってしばらく経ってからだったけど、成る程これは誑しだなと思った。俺と話すのは凄い嫌そうなのに傑と話してると楽しそうな高専関係者が多い理由も理解した。
 何で傑が突然そんなこと訊いたのかは、分かる。見てた洋画がそんな雰囲気だったから。キスして、服脱いで、みたいな。
 別にやらしい映画じゃない。普通のやつの中にたまに出てくるラブシーンだ。それ見ながら、俺もそういやこいつは誰かとこういうことしたことあんのかなってぼんやり考えてた。したことあるのかも知れない。モテるし。……なんか、面白くない。傑がモテて俺がモテないことが、じゃない。傑が俺以外と自由時間を過ごしてるかも知れないって想像したら、面白くない。
「悟? 聞いてる?」
 振り返って、傑が俺を見上げた。俺が傑のベッドを占拠してるから、傑はいつも床に座っているのだ。
 どう答えたらいいのか、迷った。
 全然自慢にならないけど俺はセックスなんかしたことない。なんか面倒くさそうじゃん。セックス自体もそうだし、そこに至るまでの流れっていうか、会って口説いてデートして、デートも何回か繰り返して、やっとセックスって感じなんだろ? めんどい。でもそんな本音を傑に言ったら、悟はやっぱりお子様だなあって笑われるかも知れない。それはやだ。傑に何も知らないガキだと思われたくない。俺はいつだって傑と肩を並べていたいし、傑とお揃いがいい。
 だから、俺は嘘をついた。セックスなんてしたことない癖に、そこに至るまでの口説いてデートも手を繋いだりキスも全然したことない癖に、いかにもしたことある風を装って笑みを浮かべた。
「あるけど? あるに決まってんじゃん」
 どや顔の裏に、傑に嘘だってバレませんようにって願いとかバレたらどうしようって怯えが潜んでる。潜ませてるのをバレないように、自信満々に言い放つ。バレる筈がない。だって、俺は最強だし。最強なんだからセックスくらいしたことあるに決まってるって、きっと傑も思ってる。
「本当? 流石は悟だね!」
 傑は何故か嬉しそうにパッと笑みを浮かべて、何故か手放しで俺を褒めてくれた。ほんのちょっと、罪悪感が芽生える。だって嘘だし。親友に嘘ついてるし。でもこんな風に傑が笑うのを見たら、嘘だなんて言えない。
「あ、当たり前だろ」
「じゃあさ、悟に相談っていうかお願いがあるんだけど」
「っえ?」
 傑がベッドの方に身を乗り出して、傑の半身の重みと俺の体重とでぎ、ってベッドが鈍く軋んだ。俺は微かに嫌な予感を覚えつつ後じさろうとして、背後は部屋の壁だった。だって俺の嘘で傑がこんな嬉しそうなのって、嫌な予感しかしない。
「実は、少し前に彼女が出来たんだけど、」
「そうなんだ」
 なんてことなさそうな傑の言葉に、俺の胸が何故か急にずきって痛んだ。傑に彼女がいるって事実に動揺して、ショックを受けてる。自分の心境に戸惑う。
 別に、傑も俺もお年頃だし、傑はモテるし、そりゃ彼女がいても不思議じゃない。でもショックだった。俺の傑と、俺が知らない女がべたべたしてるなんて。でもそんなこと考えてるなんて傑に知られたくなくて、俺は平静を装ってあんまり興味なさそうに答えた。本当は興味津々の癖に。どんな奴なのかとか、どういうところが好きなのかとか、訊きたくて仕方ない癖に。
 知りたいけど、知りたくない。知ったら発狂しそうだけど、知りたい。面倒くさいジレンマだ。
「その彼女とセックスする流れになりそうな気配なんだけど、私、今までセックスしたことがないんだよね」
「……そう、なの?」
 傑はまたなんてことなさそうに言ったけど、俺にとっては結構衝撃的だった。てっきり傑は普通にセックスなんてしたことあるのかと思ってたのに童貞だった。……じゃあ、別に俺、嘘つかなくて良かったじゃん。って思ったけど、この流れで実は俺も童貞だなんて言えない。嘘ついてたって傑に幻滅されたくない。
「だからさ、悟で練習させてくれない?」
 傑がベッドに乗り上げて、俺の腕を掴んだ。ぎし、ってベッドが更に耳障りな音を立てる。
「は?」
 俺は何を言われてるのか分からなくて、固まってしまった。俺の目、多分不安げに揺れてる。その目と傑の目が合って、心臓がドク、って鳴った。
「彼女に童貞だなんて言えなくてさ、悟、セックスのやり方教えてよ。こんなこと、親友の悟にしか頼めないんだ」
 傑の目、真剣な色してる。俺の方に身を寄せて、やたら近くて、息まで聞こえそうで、俺は何故か、ドキドキする。俺にしか頼めない、って言葉に、俺の中にあったらしい優越感とか自尊心とかが、ぶわりと膨れ上がっていく。
 傑に頼りにされてるのは俺だけだ。俺以外には頼まないことも、傑は俺に頼んでる。俺だけ、傑に頼られてる。嬉しい。
「し、仕方ねえな。……じゃあ俺が教えてやるよ!」
 嬉しいから、俺はセックスなんてしたことないのに、したことないから教え方なんて分かる筈もないのに、またどや顔で自分が困るだけのことを答えてしまった。……俺は、きっと馬鹿なんだ。こんなこと引き受けても傑にレクチャーなんて出来ないって分かってるのに。
「ありがとう、悟。嬉しい」
「……」
 傑が嬉しそうだから、今更断ることも、実は俺も童貞だなんて答えることも、俺には出来ない。傑が俺に身を寄せたまま、まずは何からすればいい? なんて訊くから、早速の難問に俺は答えに詰まった。
 え、分からない。何からするんだろう。
 慌てて、脳内の抽斗から大して種類のない知識を引っ張り出そうとした。コンビニで立ち読みしたちょっとエロい漫画とか、ネットでだらだら見たちょっとエロい漫画とか、俺のエロに関する知識なんてその程度しかない。だいたいどの漫画も胸がやたらでかい女が出て来て、エロいことが始まる前にキスしてた、ような気がする。さっき見てた洋画でもそうだったし。
 そういややけに部屋が静かだなって気付いたけど、テレビの画面が真っ暗だ。いつの間にか傑がDVDの再生止めてる。
「ま、まずは、……えっと、キスするんだ。エロいキスでムードを高めるんだよ」
「なるほど。流石は悟だね。とっても物知りだ」
「あ、当たり前だろ!」
 傑に褒められると擽ったいような嬉しいようなむず痒い感覚が走るのと同時にちくりと罪悪感が胸を刺した。だって俺、童貞だし。全然物知りじゃないし。嬉しいのと申し訳ないのとで複雑な気分でもやもやしてると、傑が今度はとんでもないことを口にした。
「じゃあ悟、お手本見せて」
「えっ? なに、」
「私にキスしてよ。エロいキスのやり方教えて」
「は……?」
 俺は困惑して困り顔で、多分ちょっと泣きそうだったと思う、情けないことに。だってエロいキスなんてしたことない。ていうか、やり方教えるって、実践しろってことだったのか!? 確かにさっき、悟で練習させてって言われたような気がする。でも冷静に考えたらおかしくないか? 彼女とセックスするんだよな? 男の俺で練習しても意味なくね?
「さとる、どうしたの。教えてくれるんじゃなかったの」
 すす、と傑が更に身を寄せて、俺の下唇に親指を這わせた。ぞわぞわした。やだからじゃない。違う。ぞわぞわして、ぞくぞくして、かあって顔が熱くなって、……エロいことしたことないなんて言いながら、どう考えても触り方がエロいって思うのは、俺の気にし過ぎなのだろうか。
 まるでもっと触れて欲しいみたいに、俺は困り顔のままでちょっと口を開けてしまった。開けた口からう、とかあ、とか、言葉にならない中途半端な声が漏れ出た。でもそのまま固まってしまった。傑にキスなんて、出来る訳ない。嫌だからじゃなくて……むしろキス、して欲しくて……でもしたら、キスしたことないって傑にバレそうで、出来ない。
「……もしかして、実はセックスしたことないとか? 私に嘘ついたの?」
 いつの間にやら俺の唇のすぐ近くにある傑の唇から、俺を疑う言葉が出る。俺の目を覗き込んで、傑が俺を呼ぶ。さとる、って。
 バレるのは、やだ。
「し、たことある、に決まってんだろ!」
 俺は実は童貞だってバレるのが恐くて、咄嗟に傑のTシャツの胸ぐら掴んで勢い任せに傑にキスした。もはややけくそだ。キスっていうか、口をぶつけるみたいな格好になって、歯がごつってぶつかった。痛い。キスって痛いんだ。知らなかった。漫画でも映画でも、全然痛そうに見えなかったのに。
 とにかくこれでセックスしたことあるは嘘じゃないって証明出来た。冷静に考えたら全然証明にならないけど、俺は全然冷静じゃないから、とりあえず傑のリクエスト通りにキスしてやったんだからこれで大丈夫だろうと思った。エロいキスじゃないし、キスっていうか歯をぶつけただけだ。だけどとにかく、キスをすぐにやめて傑から離れたかった。だって心臓煩いし、顔、もっと赤くなってる気がするから。
 なのに、唇離そうとしたら急に傑が俺の肩掴んで引き留めて、猛スピード出してる車みたいだった俺のキスと違ってゆっくり、でも強引に唇を俺の唇に押し当てた。ぎゅ、って。傑の唇に俺の唇が触れてるって急に意識して、俺は顔だけじゃなくて身体も熱くなった。熱いし、じくじくずくずく疼くみたいだ。
「す、ぐる、ッ――っん゛……ッ!?」
 名前呼ぶ時に俺の唇が開いて、そしたらそれを狙って待ってたみたいに傑が唇の隙間に舌突っ込んで来た。ぬるってぬめってて濡れた舌が、まるで別の生き物みたいに俺のくちのなかを探る。思わず身を固くして縮こまってる俺の舌を、傑の舌が絡め取って、解すみたいに舐めて、吸って、また舐める。ぞくぞくした。背中に電気流し込まれたみたいにびりびり痺れて、頭の芯がぼうっとなる。身体に全然力入んなくて、くたって傑にもたれ掛かるような格好になった。
「ふ♡ん、んっ♡ん……ッ♡」
 鼻に掛かったような妙に甘ったるい吐息と掠れた声が、俺の口から漏れる。誰の声だよって感じの声だ。でも間違いなくその声は俺の口から出てる。信じられない。こんな男に媚びてる女みたいな声が出るなんて。信じたくない。
 ちゅ♡ちゅ♡って唾液の音が、やらしく聞こえる。吸われて、絡め取られて、息が出来ない。頭、ぼーっとしてふわふわして、何も考えられなくなる。傑に軽く肩を押されただけで、俺の身体はあっけなくベッドに倒れ込んだ。そしたら傑が覆い被さって来て、一瞬だけ離れた唇にまた吸い付く。息出来なくてこのまま酸欠になって死ぬんじゃないかって恐くなって、俺は力が入らない身体に必死で力を込めて傑を押し返そうとする。
「っあ、……も、やめろ、って、」
 ぐいと押せば、傑はやや不服そうな顔をしながらもキスをやめた。唇の端からたらって透明な唾液が糸引いてるのがやらしい。  じっと俺を見下ろす黒い双眸にじっくり弱火で炙られるみたいに、俺の身体からは熱が引かないどころかもっと体温が上昇する。じわって額に汗が浮いてるし、じわって目の端に涙も浮いてる。涙なんて見られたくないから腕で目元を隠そうとするのに、傑にぐいと腕を引かれて顔覗き込まれて、ひぐ、って俺の喉から変な声っていうか音が漏れた。
「さとる、私のキス、どう? ちゃんと上手に出来てた?」
「っう……、」
 言葉に詰まる。傑から目を逸らす。俺はキスなんてしたことなかったけど、さっきのキスが上手いか下手かくらいは分かる。身体がぐたりとして頭ぽやぽやして全然抵抗出来なくて、麻痺したみたいにびりびりして、身体の芯が熱を持って……傑にされたのが、エロいキスだってこと、頭で理解するより先に身体の反応で分かる。分かるから、傑の目を直視出来ない。
「さとる?」
「……ま、まあまあ、上手いんじゃねぇの、多分」
「はは。手厳しいね。じゃあもっと上手く出来るようになりたいからもう一回していい?」
「だめ」
 ソッコー拒否してふるふる首を横に振る。もう一回されたらマジで前後不覚に陥ってしまう。もっと変な声出して、もっと見られたくないような顔晒して、傑に童貞だってバレてしまう。それはやだ。
「ええ? だめなの? ……じゃあ、次どうすればいいか教えてくれる?」
 傑はちょっと残念そうだったけど、今度はキスもう一回よりももっとハードルの高いことを俺に要求した。傑に押し倒されたまま、俺は一瞬固まる。
 どうすればいいんだろう。傑にほんとのこと言う? いや、それは無しだ。だったらもう一回脳味噌の抽斗引っ掻き回して、ついでにさっきまで見てた映画の退屈なラブシーンも思い出して、俺は声が震えそうになるのを必死で抑えて一気に言った。
「ふ、服脱がせて、……胸、揉んだり、い、色んな場所にキスしたり、とか、」
 緊張で声引っくり返りそうだった。今自分が言ったこと、マジで傑が俺にするんだろうか。流石に、それはない? いくら練習したいって言っても、相手は俺だし。俺は傑も知ってる通り女じゃない。傑と同じもん付いてるし、胸だって女みたいに膨らんでないし。絶対練習にならない。
「じゃあ脱がせるね」
「うひゃあッ!?」
 俺が悶々と考え込んで黙り込んでしまってるうちに、傑が俺のシャツの裾を掴んでがばって一気に胸の上辺りまでたくし上げた。不意打ちだったし、マジでほんとに本気でやるのかって驚いて、俺は変な声を出した。傑よりも些か貧相な感じのする腹筋も、女と違ってぺったんこの胸も、傑の眼前に暴かれてる。風呂で何回も見られてるのに、今見られるのが何故かめちゃくちゃ恥ずかしくて、それに俺だけ上裸なのもフェアじゃなくて気に食わなくて、だけど勿論傑を脱がせる度胸もなくて、俺は赤い顔のままあわあわ無意味で意味不明な言葉を口から発した。
「す、ぐる、」
 流石にパニクって、ちょっと待てよって傑を止めようかと思った。でも止めたら童貞だってバレるって一瞬だけ躊躇した。躊躇ってる間に、傑の手の平が俺の脇腹の辺りを撫でた。ぞわぞわって肌が粟立つ。
 おかしい。傑に触れられることなんて、今まで何度もあったのに。俺の身体が変なの、絶対俺の所為じゃない。傑がやらしい触り方してる所為だ。
「っあ♡待って、ねえ、ッあ♡や、」
 脇腹を撫でてた手が、胸の上を掠める。真っ平らな胸の上の乳首を傑の親指と人差し指に摘ままれて、俺の身体がビクッと跳ねた。こりこりって転がすみたいに捏ねられて、変な感覚がそこに走る。むず痒いような、もどかしいような、得も言われぬ感覚だ。この感覚、嫌だ。からだ、へんになる。俺は思わずぎゅうって傑の腕を掴みながら、首を横に振った。
「すぐる待って、やだ、ッん♡ひ……ッ♡♡」
 こりこり捏ねられて、強めにつねられて、指の腹で押し潰される。恥ずかしい声が出る。自分の声じゃないみたいな、上擦った声が。そんな声出したくないのに、出てしまう。
「う♡あ……ッ♡や、め……っ、」
 なんか、腰の奥、じんじんする。頭の奥もじんじんする。でも嫌じゃなくて、甘く痺れるみたいで、逆にそれが恐い。経験したことない感覚が、恐い。
「悟が言ったんだろ、胸揉むって。揉む程大きくないから、乳首弄るしかなくない?」
「あッ♡あ、だめって♡♡やだ、」
 そうなんだろうか。傑の言ってることは正論のような気もする。けど、分からない。だんだんふわふわして何も考えられなくなる。乳首捏ねられるのを、身体が快感だと認識し始めてる。その証拠にこりこりされて硬くなって、腰、勝手にびくびく揺れて、下着の生地に擦れてさっきからちんこが痛い。ちんこも触って欲しくなってる。そんなこと言えない。
「でもここ、硬くなってる。ぷくって膨れて、可愛い」
「ひ♡なってな、い♡♡♡かわいくな、ッあ♡♡やぁ゛♡♡あッ♡♡♡だめ、」
 傑が身を屈めて、またベッドが軋む。垂れた前髪が肌に触れてくすぐったいって思う間もなく、反対側の乳首にぬろ、と濡れた感触があった。傑の舌。舌で、乳首舐められてる。意味分かんない状況なのに何故か下腹に熱が集まって、ビク♡ビク♡って腰が跳ねた。
「すぐる♡待ってやだ♡あ゛ぁ♡う♡はぁ……ッ♡♡」
 じゅる♡って吸い上げられて、甘く身悶えするような快感が乳首から腰に伝わる。やなのに、やな筈なのに、じゅるじゅる吸われてしゃぶられて甘噛みされて、反対側は指でこりこりされて、気持ちいいのがどんどん腰の奥に蓄積されていく。スウェットの中のちんこが膨れて痛い。無意識にねだるみたいに胸を突き出して、腰も突き出して、そしたら傑の太股に俺の硬くなったちんこがごりって擦れた。きもちいい。溶けそうなくらい、身体が熱い。
「ん♡あ゛っ♡♡あっ♡すぐる、だめ♡はあ♡あ゛……っ♡」
 はあはあ息乱して、口端からつうって涎が零れる。シーツに垂れる。だめって言いながら、自分で傑の太股にちんこ押し付けてる。だってちんこ擦れて気持ちいい。なのに傑はさりげなく太股をちんこから離した。わざとやってんのかってキレそうになるけど太股でちんこ擦らせろなんて恥ずかしくて言えない。中途半端に昂ぶった身体が熱を持て余して、お預け食らった犬みたいで辛い。
「すぐる……♡」
 ねだるように、媚びるように親友の名前を呼んでしまう。傑は今やぷっくり膨れ上がって敏感になった俺の乳首から唇をゆっくり滑らせて、肌を舌でなぞりながら時折甘噛みしながら、徐々に腹の方へと唇も指も移動させている。
 下、触って貰える、って、身体が浅ましく期待して震える。傑の唇が、指が、触れてる場所があつい。でも焦らすようにゆっくりで、もどかしい。下着に擦れて、ちんこから先走り汁がとぷとぷ零れて、俺の下着は今やもうぐしょぐしょに濡れてるのに。
 傑が触ってくれないなら、いっそ自分で触りたい。でもちんこシコッて気持ちよくなってるところ傑に見られるなんて無理。ジレンマ。
「あ♡あ♡うあ……♡♡」
「悟、次はどうすればいい?」
「っふえ……?♡」
 臍の下辺りまで舐めたところで、傑が顔を上げて下から俺を覗き込んだ。俺はとろんって蕩けたような焦点の合ってない目で、ぼんやり傑を見下ろす。傑が身を起こして、俺に顔を近付ける。そんな近付いたら、俺の心臓がドキドキ煩いのが傑にバレてしまう。
「胸触って色んな場所にキスしたよ。次はどうすればいい?」
 童貞だから分かんないんだ。って、傑がちょっと困ったような顔をする。
 多分、俺がもっと冷静だったら、傑が童貞だなんて絶対嘘だって思ってた。だってキスするのも触るのも舐めるのも、どう考えても全部慣れてる。慣れてるのに何で初めてのふりしてるのか――俺のことからかって遊んでるのかも、って気付いてたと思う。でも俺は快感で頭ぽやぽやしてるし、放置されたちんこが痛いし触って欲しくて仕方ないし、もはやちんこの酷い疼きに負けて、『次』をおねだりするしか出来なくなっていた。
「あ……♡し、下、も、……」
「うん?」
 消え入りそうな声で必死におねだりするけど、傑が首を傾げて聞き返した。下、ってナニか、言わないと触ってくれないらしい。
「……ッ、し、下脱がせて、……ち、ちんこ、も、さわ、って♡」
 羞恥で死にそうだった。ちんこ、なんて傑の前で悪ふざけでいつも言ってるのに。今口に出すの、凄く恥ずかしい。
「脱がせればいいの?」
 スウェットのゴムの部分に手を掛けて、傑が訊く。俺は必死にこくこくと頷いた。焦らされるの、もうやだった。
「う、ん……♡脱がせて、ちんこ、扱いて♡すぐる♡」
 彼女にちんこなんて生えてないのに、これって一体何の練習なんだろう。分からない。分からないけど、傑にスウェットも下着もずらされて、ふるんと飛び出たちんこ見られて、恥ずかしいのとそこに触れて貰えることへの甘い期待とが綯い交ぜになって、頭の中ごっちゃになった。
 勃起して我慢汁垂らして濡れてるちんこを掴まれて、竿を上下に扱かれる。ごしゅごしゅって、丁度良い強さで。途端、ずっと欲しかった刺激に身体が歓喜して、ビクッ♡ビクッ♡って壊れたみたいに腰が跳ねた。あまりの快感に涙が出た。
「ッあ゛♡♡あ♡ふあ♡や、だ……ッ♡♡♡」
「やなの? さとるが扱いてって言ったんでしょ」
「あ♡だ、って、は、はずかし、ッんあ゛♡♡あ゛ッ♡ひぃ゛っ!?」
 ぬるぬるに濡れてる先っぽに親指の腹をゆるゆると這わされて、上擦った媚びてるみたいな声が出る。声も腰の痙攣も抑えられない。ていうか、腰跳ねるともっとしてって傑にねだってるみたいでやだ。違うのに。敏感な場所、優しく擦られて燃えるように熱い。我慢汁がいっぱい出て、掻き混ぜるように指動かされてくちゅくちゅってやらしい音が聞こえた。
「こっちの触り方の方が気持ちいい?」
「ち、がう、――ッあ♡待って、だめ出そう♡」
 ぐりゅっ♡って指を中心の小さな窪みにめり込まされて、身が仰け反る。
 ヤバいイきそう親友の手でイかされるっていう屈辱感と、イく直前のあの甘やかな感覚と、イきたいっていう期待と、全部ごっちゃになる。射精を促すようにやわやわ扱かれて、いよいよ競り上がって来る爆発的な熱に俺は大きく身を震わせた。
「すぐ、る♡も、イッちゃう、――っひ!?」
 イく直前でぐいって両足を大きく外側に開かされて(いつの間にか下着もスウェットも足首の辺りまでずり下ろされてた)、無防備な、そしてデリケートな尻の穴に、ぬるんってなんか入り込んだ感覚があった。全然予期していなかった場所への不意打ちの刺激だ。あまりにも突然襲って来た異物感に俺のちんこは萎えてしまう。
「な、に、ッやだ、ッあ゛……ッ!」
「暴れないで、悟。大丈夫だから」
 傑が身を屈めてすすって俺に身を寄せて、ていうか俺を押さえ込んで、俺の耳に声を吹き込む。低く、掠れた声。普段聞いたことのない声。女の前だとこんな声出すんだろうかっていう声。ぞくぞくした。ぞくぞくしてる場合じゃない。だって俺のケツの穴に傑の指入ってる。しかもなんか指濡れてて気持ち悪い。
「だ、いじょうぶ、じゃねえ、だろ、ッあ゛っ、あぐ……ッ!」
 ぐぐ、と容赦なく根元まで差し込まれる指を、穴が勝手にぎゅうぎゅう締め付けてる。強烈な違和感と異物感に汗が出る。やだって拒否したいのに、出来ない。ショッキングなことされて思考停止してるからだ。傑にだったら何されてもいいって思ってるからじゃない。絶対違う。
「大丈夫。力抜いて」
「むり、……ッあ♡あ♡すぐる待って、」
 萎えてる前を扱かれて、直接脳髄まで響いて蕩かせるような快感にほんの一瞬ケツの違和感が緩和される、ような気がする。なかに入ったままの傑の指ぎゅうぎゅう締め付けながら、またちんこが硬くなる。ちんこの快感に気を取られてビク♡ビク♡って腰震わせてる間に、指がゆっくり抜き差しされ始めた。鳥肌が立つくらい気持ち悪いのに、同時にちんこ扱かれると腹の底がじんじん熱くて気持ちいい。
「すぐる……♡♡も、ゆび、や……ッ♡♡♡」
 俺の身体なのに傑の指に好き勝手ほじくられてるのが恐くて傑にぎゅってしがみついた。いや、傑に縋り付きたかった訳じゃない。目の前にちょうど掴みやすそうな傑の肩があったから。それ以外にぎゅって出来るものが周りになかったから。
 頭ん中で必死に色々理由考えて並べ立ててるけど、それ全部言い訳じゃないかって、気付いてない訳じゃない。気付かないふりするしかない。
「さとる、可愛い。好き」
 傑が真顔でそんなこと囁くから、俺の心臓は爆発しそうになった。何言ってんだよってパニクるし馬鹿じゃねーのって思う一方でドキドキして、何故か傑の声聞いただけで身体が熱い。
「っは? っえ? な、何言って、あ゛ッ♡♡あ、すぐる、」
「可愛いとか好きとか言った方が盛り上がるかなと思ったんだけど。どう?」
 どう? って小首傾げながら訊かれても、そんな質問にうんって答えられる筈がない。きゅって下唇噛んで黙り込むと、傑が少しムッとしたようにちんこ扱く手を速めた。ぐしゅぐしゅって濡れた音がする。頭の奥、じんじんして、思考がぐちゃぐちゃに散らばって、ビクッ♡ビクッ♡って腰が震える。
「あ゛っ♡だめ♡♡♡出る、出ちゃ、ッあ♡すぐる、だめ♡♡♡」
「いいよ、イッてよ。イッてるところ見せて」
「や゛……っ♡♡♡」
 童貞がそんなエロい台詞吐ける訳ない。もはやこいつは童貞じゃないって疑惑は確信に変わってたけど、それ問い詰めるのも無理なくらい気持ちよくて、びゅる♡ってちんこから精液が飛んで、そしたらもう止まらなくなってびゅーびゅー勢いよくぶちまけてしまった。傑が見てる前で。
「ッあ♡はあ゛♡♡♡あ♡きもちいい♡♡」
 はずかしい、って言うつもりだったのに、頭の中ぼやぼやして真っ白できもちいいしか考えられなくて、俺は射精しながら脳と直結してるみたいに思ってることそのまま口走ってしまった。がくがく震えながらまだイッてる途中で、傑がどさくさに紛れて俺のなかに指もう一本突っ込んで来た。ぬぷ♡って。
「や、ッやだ、」
「大丈夫。いい子にしてて」
 宥めるみたいに傑が言うけど、手は全然宥める気なんてないみたいに容赦なくぬぷぬぷ穴に抜き差ししてる。肌が粟立つ。内壁擦る傑の指の感触が生々しくて、未知の感覚が慣れなくてやっぱり気持ち悪い、無理、って泣きそうになるけど、指が腹側の一点を掠めた瞬間に俺の身体がびくんと跳ねた。違和感とも異物感とも違う、じんって痺れるような感覚が走る。
「あ、ッ……そ、そこ、」
「ここ?」
 ぐり♡って傑の指がさっきのその場所を刺激する。未知の感覚が身体にびりびり走って、俺は慣れない刺激に眉根を寄せた。でも、やじゃない。そこぐりぐりってされたら腰が浮く。射精して萎えてた筈のちんこが、またゆっくり勃ち上がりかけてる。なんで、って混乱するけど、俺が混乱して困惑しても傑は待ってくれない。見つけた俺のイイ場所を、指で何度も擦る。くぷくぷって。
「待っ……て、そこ、変……♡♡♡」
 次第にそこがぷくって膨れて、だんだん快感を拾うようになって、悦ぶみたいに何度も腰が跳ねる。ちんこ全然触ってないのに、また勃って精液で汚れた先っぽに透明な汁垂らしてる。俺の腹の上に先走り汁で水溜まりが出来てる。口の端からも涎が零れて、俺は知らずのうちにねだるような視線を傑に向けてたと思う。
「すぐる……、」
「どうして欲しいの? さとる」
 とろんって蕩けた目の俺に、傑が意地悪く訊く。にこって笑って、私は童貞だから、どうすればいいか悟が教えて、なんて言う。言わせたいだけの策士でペテン師。分かってる。だから言いたくない。でも下腹が疼いて、続きして欲しくて、言う、しか俺の選択の余地なんてない。せめてもの抵抗に傑から目を逸らすけど、多分全然抵抗になってない。
「……なか、の、こりこりしてるとこ、もっと……、」
「うん。エッチの時使う場所だから、優しくほぐさないとね」
「はあ゛♡あ♡あ゛……ッ♡♡♡」
 しれっととんでもないこと言われた気がする。まるで今から俺と、……えっちする、みたいな。それってもう練習じゃなくて本番じゃん。でも脳内で微かに芽生えたそんな危機感も、指三本に増やされてなかのこりこり膨らんだ場所を執拗に押されて擦られて、全部吹っ飛んでそここりこりされるのが気持ちいいことしか頭ん中で考えられない。
「あ♡うあ♡♡はあ♡♡じんじんする♡♡♡ひ♡ん……ッ♡」
「気持ちいい?」
「う、ん……♡きもちいい♡すき……♡」
 両目閉じてうっとりしてるとごく自然な口調で傑に訊かれて、恥ずかしい台詞が俺の口からするって出た。何口走ってんだろう、ってちょっと我に返って恥ずかしくなるけど、かわいいよ、って傑に言われて甘くてむず痒いような愉悦が背筋を駆けた。ぞくぞくする。
「可愛い、さとる」
「や゛♡ッあ♡か、わいくない……っ♡あ゛ッ♡ん♡あぁ……ッ♡♡」
 ぷるぷる首を横に振る。でも明らかに、可愛いって言われて頭も身体も悦んでる。きゅう♡ってなかが傑の指締め付けてるの、自分でも分かる。傑の指の感触、覚えようとしてるみたい。膨らんでるとここりこり押し潰される度、ちんこの先っぽからとぷとぷって先走り汁が零れ落ちてる。
「かわいい。前立腺で気持ちよくなってる悟可愛い」
「あ゛っ♡あッ♡♡だめ♡きもちいの、止まんなくなるう♡♡♡」
 馬鹿じゃん、俺。可愛いとか好きとか、彼女に言う練習に決まってるのに。俺が言われてる訳じゃないのに、嬉しくなってる。俺のことじゃないから惨めになるだけだ。言わないで欲しいのに、言われると嬉しい。馬鹿だ。
「なか、もう指三本も入ってるよ。エッチする為の穴になってきてる」
 指呑み込んでる場所、傑がずるって指引き抜いて両手の指使ってぐにって左右に拡げる。そんな場所拡げられたら死ぬ程恥ずかしい。まじまじ見られるのも羞恥で死にそう。でも傑の視線を意識すればする程、ひくん♡ひくん♡って入り口がひくついて、まるで誘ってるみたい。
「ひくひく震えて、やらしい」
「や♡あ……っ♡見んな、馬鹿あ……ッ!」
 穴のふちを、ぐるって傑の指がなぞる。指の感触を追うように腰が跳ねて、微弱な刺激に焦れる。何も入ってないなかの空洞が、寂しげに疼く。涙が出る。なか、もっと掻き混ぜて欲しくて、辛い。こりこりに膨れたとこ、押し潰して欲しい。
「すぐる……、」
「次は、どうすればいい?」
「っえ……?」
 涙の浮いた目で傑を見上げる。傑は詐欺師みたいな胡散臭い笑顔で、ゆるりと首を傾げた。俺の穴からも、すっと手を離してしまう。
「私、童貞だからさ。どうすればいいのか悟が教えて」
「……」
 いやいや……って冷静な部分が思う。童貞がいきなり人のケツの穴に指突っ込んだりしないだろ。童貞は前立腺こりこりしたら気持ちいいなんて知らないだろ。でもそんなことより続きして欲しい。なか、ひくひくして寂しい。身体、中途半端に火照ったままで生殺しだ。
 続きって何だろう。これ以上何を練習するんだ。もうヤることなんてちんこ突っ込むくらいしか残ってない。……でもそれって、もう練習じゃなくないか。今ここで止めないと、練習で親友とセックスしてしまうことになる。
 ちら、と視線をずらして傑の股間に目を向ける。俺は目を瞠った。だって傑のズボンの前、ぱんぱんに膨れ上がってるから。え、何で、って内心パニクる。何で傑、俺見て勃ってんの。
「さとる?」
 ぐいって顔上げさせられて、無理矢理傑と目を合わさせられる。傑の目、あんまり余裕なさそうに見えるの、俺の気の所為だろうか。見たことない雄の欲望を目の奥に潜ませて、ていうか潜ませる気なんて微塵もないんじゃないかってくらい欲望ダダ漏れで、その目見たら俺の冷静な部分なんてあっという間にどっかに吹っ飛んで行って、頭のネジぶっ飛んだみたいに、続きしたい、しか考えられなくなった。なか、きゅんきゅん収縮して、焦れて訳の分からない飢餓感に駆られる。傑だったらいいかも、って思うの、どうかしてるだろうか。
「……お、れの、ここに、……オマエの、ちんこ挿れて……」
 消え入りそうな声でぼそぼそねだりながら、さっき傑が拡げてたなか、自分でぐいって拡げて傑に見せる。ひく♡ひく♡って物欲しげにひくついて、自分で口に出すとマジでそこにちんこ突っ込まれてぐちゃぐちゃにされてる想像してしまう。
 上目遣いで傑見たら、傑は固まってる。ドン引きしたのかも知れない。そりゃそうだよな。俺で練習したいっつったって、俺とセックスなんか出来る訳ない。俺も傑も男なんだから。
「さとる、」
 居たたまれなくなって目を逸らしたら、いきなりぶちゅーってキスされた。舌、くちのなかに差し込まれて、無遠慮にじゅるじゅる吸われる。息出来ない。苦しい。ぼーっとする。視界がぼやける。傑にのし掛かられるような格好で、傑がぐいぐい腰押し付ける。ズボン越しにごりゅ♡って傑の硬いちんこが俺のちんこを擦る。
「っん♡ふ、ん゛……ッ!♡」
 じゅる♡じゅぷ♡って舌吸われまくりながら、傑が片手で俺の身体押さえ込んだままもう片方の手だけで器用にベルト外してジッパーも下げる音を耳が拾う。カチャカチャ、ジーッて。何が起きてるのか何となく分かるけど目で見えないのが不安で傑の身体を押し返せば、傑はあっさりキスをやめた。ぐたって弛緩して荒い息を吐きながら見下ろすと、傑がズボンと下着をずらしたところだった。
「っちょ、」
 ぼろんって出て来たモノを見て俺は絶句した。風呂場でも何回も見てる。確かにでかいなとは思ってたけど、今は今までに見たどの傑のちんこよりもでかい。でかいしグロい。色も黒いし血管浮いてて恐いし長いし太いしカリの括れも目立つし先っぽ赤黒いし。しかも先っぽ濡れてぬらぬら光ってて、飢えた狂犬が美味そうな餌の前で涎垂らしてるみたい。恐い。
 その恐い物体に向かって、傑がなんかぶっかけてる。透明のぬるぬるしてるやつ。多分、指にもぶっかけてたんだ。今ぬるぬるの正体が分かった。いや分かんない。謎の液体。謎の、よく滑るようになる魔法の液体。
「すぐる、待って、」
「ごめん、童貞だから待てない」
「っひ……ッ!?」
 オマエ童貞じゃねえんだろ、分かってんだよこの嘘つき。っていう反論は、恐怖で喉奥に貼り付いたまま口から情けないような悲鳴が漏れ出た。だって、でかいグロいのが俺のぽかりと開いた穴の入り口に押し当てられてる。ぬちゅ……♡ってぬるぬるに濡れた先っぽが当たって、恐いのに何故か奥を貫かれるのを期待するみたいに、俺の入り口が先っぽにちゅうちゅう吸い付いてる。――だめ、だ。これ俺のなかに入ったら、なんか色々終わる。傑と親友続けるのも、無理になる。
「すぐる、ねえやっぱりやめ、――ッあ゛ぁ゛うぅううう……♡♡♡♡」
 ずぷんっ♡♡♡って奥まで埋め込まれて、海老みたいに背が仰け反った。変な、潰れた蛙みたいな哀れっぽい声にはもはや色気もクソもない。にも関わらず傑のちんこ全然萎えてなくて、むしろ俺のなかで更にでかくなった。
「しゅぐ、う、ッあ゛ッ♡く、くるひい、」
 圧迫感に息が詰まる。動くよ、って言われたけどマジで冗談じゃない。こんなでかいの入ったまま動かれたら俺のケツ避ける。でも動かれて、ず♡ぬぷ♡って浅い場所まで後退していった傑のちんこがさっきの膨れた場所をごりっ♡って擦って、そしたら俺の頭の中、一気に真っ白に染まった。
「ひゃめ゛♡あ、あ゛♡あ゛ーッ♡♡♡」
 びゅるるるるるる♡♡♡って濃い精液が飛び散った。俺の腹にも傑の胸にも、シーツにも。指と全然違う太いちんこの先っぽが、イッてる途中でも関係なくごりゅ♡ごちゅ♡♡って俺の弱い場所擦りまくる。擦られて押し潰されてカリ首の段差使ってごりごりされて、びゅ♡びゅっびゅっ♡♡って断続的に精液が飛ぶ。蕩けて前後不覚に陥るような愉悦がひっきりなしに俺を襲って、俺は傑の背に腕を回して必死でしがみついて耐えるしか出来ない。
「しゅぐりゅ♡待ってだめ♡♡♡あ゛ッ♡やだこわい、」
「気持ちいい? さとる」
 腰前後に動かしてごちゅごちゅ中を貪りながら、傑が俺の髪を優しく梳く。酷く甘くどろどろの声音を俺の耳に吹き込む。そしたら催眠術に掛かったみたいに、俺は素直に頷いてしまう。
「うん……♡きもちいい♡♡」
「私のち○ぽ好き?」
「しゅき……♡♡♡しゅぐうのち○ぽきもちいい……♡」
 ち○ぽ、なんて下品な言葉、普段の傑は絶対言わない癖に。
 やらしい言葉を傑が俺の耳に吹き込むから、俺は操られるみたいにやらしいことを口走りながら両足上げて傑の腰に回した。いつの間にか、俺の下半身は傑によって素っ裸に剥かれていた。やらしいことしながらやらしいこと言うの、気持ちいい。歯止めが利かなくなりそうだし、病み付きになりそう。
「私も、悟のま○このなか気持ちいい。可愛いよ、悟」
 傑が上脱いで、上半身裸になる。別に傑の裸なんていつも見てる。でも盛り上がった筋肉とか汗で濡れた肌とか、傑とエッチしてる今見るといつもと全然違う。ドキドキする。
「あ♡あ゛……ッ♡♡きもちい♡すぐる♡あ゛ッ♡♡あ゛っ♡♡♡」
 ばちゅ♡って乱暴に腰押し付けられて、目眩がする。快感が甘い毒みたいに全身に回って、びくびく震える。なかが、ま○こになったみたいにぎゅうぎゅう傑のち○ぽ締め付けて悦ぶ。まるで傑のこと好きみたいに。
「あ゛っ♡んッ♡♡きもちいい♡♡えっちするの、すき♡♡♡あっ♡あ゛ッ♡」
 なんで、こんなの俺の身体じゃない。ぱちゅ♡ぱちゅんっ♡って奥突かれる度に、ちんこからぴゅ♡ぴゅく♡って我慢汁が飛ぶ。そうやって少しずつ奥まった場所まで楔を打ち込まれながら、時折膨れた弱い場所までごりごりされると、堪んない。快感がずっと身体中痺れさせて、またイきそうになる。
「すぐる……♡も、もぉ、俺またイきそ♡♡せぇし出ひゃう、」
「っ私も、もう出そう。一緒にイく?」
「うん……♡」
 こくこく頷くと、傑が俺の両手シーツに縫い付けて、ぎゅって手を繋いだ。思い切り腰押し付けて、ごりごりごり♡♡♡ってカリ首で弱い場所擦りながら、もっと奥までち○ぽがずぷずぷ入って来る。傑と深く愛し合ってるみたいに錯覚してしまう。違うのに。俺はただの練習なのに。嬉しくなってちゃ駄目なのに。
「はひ♡あ゛ッ♡イく♡イッちゃう♡♡♡」
「っく……!」
 びゅくびゅく精液が出る。傑のち○ぽ締め付けてしまって、俺のなかでち○ぽがびくびくしてるのが分かった。傑の精子がどくどく俺のなかに出てるのを感じて、さっき嬉しくなってちゃ駄目だって言い聞かせた筈なのに、また嬉しくなってる。だって、傑のモノにされてるみたい。傑の精液熱い。傑の息も熱い。身体も熱い。繋いでる手も熱い。全部熱い。
「すぐ、る……♡」
 キスねだるみたいに蕩けた目で傑を見上げる。すぐに俺の意図を察して、傑がキスしてくれる。従順にかぱりと口を開けば、俺のことなんか全部察してお見通しと言わんばかりに傑の舌が差し込まれる。息出来なくなるの分かってるのに、傑に舌吸われるのが気持ちいいからいっぱいキスしたい。
「ん♡んちゅ♡んむ……♡♡」
 案の定息苦しくなって目尻に涙が滲んだ。苦しい、けど幸せだった。舌絡ませられて軽く歯を立てられて、じんって腰の奥が痺れる。まだ俺のなかに入ったままのち○ぽが、まだ硬いままだ。俺は別にいいのに、流石にまずいと思ったのか傑はキスをやめてしまった。ずるんってち○ぽも出て行く。寂しい。空洞になった場所が、またひくつく。なかの精液、逆流してたらってシーツに垂れ落ちてしまうのが、傑が俺のなかにいた痕跡が全部消えるみたいで凄く嫌だ。
「っあ、……すぐる、」
「さとる、私のセックス、どう?」
「っうえ……?」
「ちゃんと上手に出来てる? 彼女に童貞ってバレないかな?」
 ぼんやり訊き返せば、傑が俺の目を覗き込んで俺の採点を待つ子供みたいに心配そうに訊いた。……俺と今ヤッてたのは、セックスだとカウントされない、らしい。まあ、そうか。所詮これは練習だもんな。
 急に冷えた気分になって、面白くなくなって、胸の奥がずきずき痛んで、俺は繋がれた傑の手を振り払った。泣きそうだった。胸の痛みを必死で隠して、別に傷付いてなんかいないって態度で薄笑いを浮かべる。
「別に、全然上手くねえ。下手くそ。童貞の雑魚ち○ぽなんて、所詮こんなもんだよな」
 安っぽいし嘘だって一発で分かる挑発だと、我ながら思う。散々よがりまくってた癖に何言ってんだって感じだ。でもムカつくから、傑を貶めたかった。
 もやもやする。泣きたい。いや泣きそう。何でなんだろう。傑が別の女とヤッてる映像が頭にちらついて、酷く不快だ。
「ふうん。分かった」
 傑は俺の挑発に怒るでもなく、平坦な声で言った。――もしかして、俺の嘘を真に受けて傷付いてる、とか? と思いながらその顔色をそっと窺う。と、いきなりがしって腰掴まれて、いきなり足開けさせられて、いきなりいきり立ったものをぐぷってねじ込まれた。びくっびくって俺の身体が大きくしなる。
「か、は……ッ!? や、何す、ッひ!?♡」
 ごちゅっ♡って音が聞こえそうなくらい、奥までち○ぽぶつけられて息が詰まる。さっきまで入ってた所為か痛くはないけど、苦しいし恐い。慌てて傑の肩掴んで押し戻そうとするけど当然力なんて入らなくて、押さえ込まれてずりずり気持ちいい場所擦られながら奥に出し入れされて、俺のちんこがまた勃起した。襞がきゅう♡ってち○ぽに絡み付いて、必死で快感を貪ってる。悦楽に溶かされてしまいそうだ。
「や♡やだすぐる、ッあ♡あ゛ッ♡♡♡」
「下手くそなまま彼女とセックスしたくないから、もう一度練習させてくれる?」
 意味のない質問だ。質問する前にまた突っ込んでるし。
 傑がごりごり♡って深い場所を亀頭で擦りまくると俺のちんこからぴゅくぴゅく我慢汁が溢れた。なかに出された傑の精液が傑のち○ぽに撹拌されて、ぐちゅぐちゅ音が鳴る。俺のなかに塗り込めるように竿でずりずり擦られて、脳味噌まで溶けそうなくらい気持ちいい。
「あ♡あッ♡♡はあ゛っ♡待って、」
 でもやだ。これが彼女とセックスする為の練習なのがやだ。だからしたくない。そんなこと言ったらめんどくさい奴だと思われそうだから言えない。俺は必死で首を横に振った。
「やだ、も、う無理、」
「どうして? 童貞の雑魚ち○ぽがいくら悟のなか犯しても、雑魚だから別に平気だろ?」
 薄らと笑みを浮かべた傑がさっきの俺の言葉をそのまま俺にぶつける。忘れてたけど、こいつは趣味が悪い。あと意外と根に持つ。そういうところがある。
 ごめんなさい嘘ですって謝ればいいのかも知れない。いっそ、全部嘘ですって言えばいいのかも。セックスしたことあるなんて、嘘。雑魚っていうのも嘘。練習でいいのも嘘。俺で練習した後に彼女とヤるなんて、やだ。だって傑は俺のだし。俺だけのだし。嫌だ。
「……っあ♡あ……っ♡」
 俺の下らないプライドが邪魔してそんなこと言えない。下唇噛んで黙り込んで、その間に傑のち○ぽがどんどん俺の深い場所まで入って来て、奥のもうこれ以上入んないって行き止まりまで、ごちゅ♡ってぶつかる。くるしい、のに、気持ちよくて、黙り込んどくのなんて到底不可能で、すぐ声が出る。ビクッ♡ビクッ♡って腰が震えて止まらない。ぴゅ♡ってちょっとだけ白濁が出て、出るモノももうないのかちんこがぴくぴく震えてる。
「っん♡♡あ゛♡あう、すぐる、待ってだめ、」
「ごめんね。童貞の雑魚だから、我慢出来ない」
「ッあ、あぐ……ッ!♡」
 とん、とん、って行き止まりの場所を先っぽが叩く。ドアノックするみたいに、優しく、でも決して止めてはくれないし、抜いてもくれない。とんとんって繰り返し叩かれる。優しい、のに恐くて、額に汗が浮く。鳥肌が立つ。だって行き止まりだったとこ、段々開いて来てる。緩んで来てる。くぱ♡って従順にち○ぽ受け入れるみたいに、奥にち○ぽが入る隙間作ってる。でもそこ駄目だ。直感で分かる。そこ、ヤバい場所だ。
「っすぐる、ま、マジでだめ、やだ、」
「だめ? でもここ、入りそうだよ」
 ぐ、って傑が腰を突き出す。開いた場所に、先っぽがぬるって入って来る。ヤバいって目を見開いて、無意識に暴れようとするのを傑に易々と押さえ込まれて、やだって泣きが入った情けない声上げたらまたキスで口を塞がれた。声出せないで固まってる隙に、傑のブツがヤバい場所に押し込まれる。
 ぐぽんっ♡♡♡
 どう考えてもヤバいだろって異音がして、一瞬視界が引っ繰り返った。ビクッ♡ビクッ♡って陸に上げられた金魚みたいに無様に身体痙攣させて、凄まじい快感に目の前も頭の中も全部真っ白に染まる。多分イッてる、と思う。絶頂のピークみたいな感覚はある。でもいつもみたいにちんこからびゅーびゅー射精してる感覚が無い。何も出てないのにイッてる。
「っん゛ぅ、う゛ー……ッ!♡♡♡」
「っはは。さとる、雑魚ち○ぽに結腸まで犯されてメスイキしてるの? 可愛い」
 傑が意地悪く微笑みながら俺見下ろして囁く。絶対にこいつはセックスのやり方知らねえ童貞じゃない。童貞がこんな芸当出来る訳ない。童貞でも素人でもない、手練れだ。
「あ゛ッ♡ああ゛♡♡しゅぐ、っんひ♡だめって♡♡♡あ゛ッあ゛っ♡♡」
 傑が腰を前後に揺すると奥に嵌まり込んでるち○ぽも俺の内壁擦りながらぐぽぐぽ動いて、カリ首が奥の入り口の狭いとこに引っ掛かる度に凄まじい快感に身体中の神経を嬲られる。死にそうだ。訳分かんないくらい強い快感がもはや恐怖でしかないのに、俺のなかは悦ぶみたいに収縮して、一生懸命ち○ぽ食べてる。貪り尽くして搾り取るようにきゅん♡きゅん♡って収縮して、まるでメスだ。傑に犯されるのを望んで悦んでる。
「だ、めぇ゛ぇ♡♡♡おね、が、い゛♡とまって、ッうあ゛♡あ゛ッ♡あ゛んッ♡♡♡」
「だめって言われても、雑魚だから止まれない。でも、悟はこんなしょぼい童貞のち○ぽじゃ別に気持ちよくなれないから平気だよね?」
 ぐっぽ♡ぐっぽ♡ってヤバい音させながらメスになってるとこ犯されて、ぷしゅ♡って炭酸抜けるみたいな音と共に粘ついた精液の代わりにさらさらの透明な飛沫が飛んだ。両目からぼろぼろ涙が零れて止まらない。だってこんなの無理。傑の極太ち○ぽで犯される快感、一生忘れらんなくなる。恐い。
「あッ♡♡ぎもぢいい゛……ッ♡♡♡ごめん、なしゃい゛♡♡♡あ゛っ♡も、もぉ、ゆるじで……しゅぐりゅ♡」
「ほんと? ここ、ちゃんと気持ちいい?」
「あひ♡きもちい♡も、らめ゛♡♡だめ♡漏らしひゃう♡♡♡」
 カリ首の段差を使ってずりずりされるの、死にそうになる。頭ばかになって、身体もばかになって、違うの出そうになって、めちゃくちゃ焦る。漏らしたらシーツ終わるから、だから漏れそうって俺はちゃんと言ってるのに、傑はぎらついた肉食獣みたいな目で俺のこと見つめたまま、口元に笑みを浮かべた。
「へえ? 雑魚ち○ぽで結腸ほじられて漏らしちゃうの? 可愛いね、さとる」
 漏らしてるとこ見せてよ、なんて傑が言う。
 クソだ、こいつ。そんでもってしつこいし悪趣味だ。傑がこんなドSでド変態だなんて、知らなかった。知りたくなかった、と言いたいけど、……ドSでド変態な傑にやらしいことされるのが、好きかも知れない。傑には絶対この本音を言いたくない。
「だ、めってぇ゛♡♡やだ、ッあ゛ッ♡♡だめだめ、ッあ゛ぁー……ッ!?♡♡♡」
 ぷしゅ♡ってまた透明な飛沫が飛んで、次いでぷしゃあああ……♡って勢いよくちんこの先から吹き上がった。噴水みたいに、びゅーびゅー出る。
 マジで漏らしたのかと絶望した。この世の終わりみたいな絶望感と天国みたいなヤバい快感とが同時に襲って来て訳分かんないまま、傑のち○ぽがぶるりと震えてまた俺のなかに熱い精子をびゅくびゅく注ぎ込んでるのを感じる。しかも今度はさっきよりも深い場所だ。こんなとこに出されたらもうなかに入ったまま出て来ないんじゃないかってくらい奥。いいけど、別に。傑の精液だったらいい。どうせ今後はもう俺とヤることもないんだろうし。最初で最後なんだから、俺の腹の中に置き土産があったっていいだろ。
「ひ♡あつ、い♡♡せえしあつい♡うあ♡あ゛……っ♡」
「潮吹き上手だね、悟。可愛い。好き」
 シーツ死んだのに傑は嬉しそうだ。
 俺を可愛いと言って好きと言って、慈しむように俺の頬撫でたりなんかしながら、こいつは俺の知らない女の幻影を俺に見てるんだろうか。気に入らないから手を思い切り振り払いたい。でも触れられてるのが嬉しくて、出来ない。
 傑の精液を中に出されて、幸せだ。でもそんなこと、この先もう一生ないんだって思ったら、辛くて悲しくて、またぼろぼろ涙が出た。顔見られたくなくて、腕で目元を隠した。


「……」
「……」
 傑の部屋の中、しーんってしてる。原因は俺だ。さっきから、傑が話し掛けて来ても全然返事しないから。気まずい。だったら自分の部屋に戻ればいいんだけど、それもやだ。……傑と一緒にいたい。離れたくない。……傑とセックスしたら、何故か離れたくなくなった。離れるしかないのに。傑は別の女と付き合ってるんだから。
「悟、怒ってる?」
「別に」
「怒ってるだろ、どう見ても。私が童貞だって嘘ついたから?」
「……」
 ほらやっぱり嘘じゃん。
 俺はベッドの端っこから胡乱な目を傑に向けた。傑はもう一方の端っこから俺を見てる。俺が近付くなオーラを出しまくってる所為で、傑はまるで檻の中の動物の様子を窺うように離れた所から俺を見てる。いやそれもあるけど、もしかしたら俺が出した色んな液でベッドがぐしょぐしょだから近付けないのかも知れない。でもそれは俺の所為じゃない。俺は漏れそうだってちゃんと言った。やめなかった傑の所為だ。
 童貞が嘘なのは途中から分かってたけど、傑がわざわざそんな嘘ついた理由が分からない。だからじとってジト目で傑を睨んだ。傑が溜息を吐いた。
「さとるだって嘘ついただろ。童貞じゃないなんて」
「っは!? 嘘じゃねえし、」
「さとる、私は悟が好きなんだよ」
「うるせー黙れ嘘じゃねえし、……っえ? は?」
 一瞬何言われたのか分からなくてきょとってしてしまった。
 え? 誰が誰を好きって? 傑が? 俺を好き? え? え……?
 ぼわ、って顔が熱くなる。
 それも嘘だろ、彼女いるって言っただろ、って言い返せず、俺は赤い顔見られたくなくて俯いた。傑が立ち上がって、俺の隣まで来てぼふってベッドのギリ死んでない部分に腰掛けた。俺は身動ぎもせず、顔も上げられずに固まったままでいた。
「彼女がいるのも嘘だよ。私はずっと悟のことだけ好きなんだ。悟が私以外の誰かと今まで一度でも身体を繋げたことがあるなんて、耐えられない。もしそうなら、私はそいつを探し出して殺してしまうかも知れない。それくらい好きなんだ。だから悟に私を意識して欲しかった。意識して、ほんの少しでも嫉妬してくれるかなと思って嘘ついた」
「は? え? いやいや、」
 顔上げたら目が合った。俺はちょっと引いてしまって半笑いだったけど、傑は真顔だった。
 何それ恐い。サイコパスじゃん。いや、引いてる風に笑ってるけど、実は嬉しかったりする。傑が俺のこと好きだって言った。俺だけ好きって言った。嬉しい。この考えはちょっと、色々ヤバいかも知れない。
「これ、私の一世一代の告白なんだけど……悟的には、返事はノー? 練習に付き合ってくれただけだったりする?」
 すす、って傑が俺に身を寄せて、そっと俺の手に自分の手を重ねた。そんな些細な触れ合いにもドギマギする。
 ……普通、逆じゃね? セックスより告白が先じゃん。童貞の俺でもそれくらい分かるのに、正論しか言わないこいつが順番間違えてる。俺のこと好き過ぎて暴走して正しい順番なんか分からなくなってるみたいに。
 俺の気持ちなんて、俺はもうとっくに気付いてる。今更隠してもしょうがない。このドSド変態サイコパスの親友が好きって。傑ともっと気持ちいいこといっぱいしたいって。
 っていうのを口に出すのが恥ずかしいから、俺は傑にキスした。ちゅって、軽く。そっちの方が恥ずかしかったかも知れない。傑がぽかんと口開けて俺見てるのも、羞恥に余計に拍車を掛けてる。顔から火が出そうだ。
「……へ、部屋戻る」
「待って」
「うわ、」
 立ち上がったら腕掴まれて、また引き戻された。で、今度は傑からキスされた。俺がさっきやったガキのお遊びみたいなやつじゃなくて、ぶちゅうううう♡って激しく、しつこいやつ。舌吸われて、上顎舌になぞられて、とろとろになって力が抜ける。下腹が疼く。ヤバい、のに、抵抗出来ない。
「ん♡んぅ……っ♡♡」
 完全に傑に流されてる。傑のペースに持ち込まれてる。まあでも、流れに身を任せるっていう言葉もあるし、傑に身を任せよう。
 俺は両目を閉じてキスを受けながら、もっと傑の色んな顔が見れるのかなって甘やかな期待に身を震わせた。

(終)