裏アカ男子。のその後の話。

 とぷりと日の暮れた人気のない住宅街を、長身の男が二人歩いていた。いや、一人がもう一人の半身にぐたりともたれ掛かるようにして、半分引きずられるようにしてのろのろと歩いていた。スーツ姿の若い男の二人組。一人は長い黒髪を後ろで引っ詰めた体格の良い男、夏油。そして夏油に引きずられているのは、白い髪にサングラスという目立つ外見をした五条だ。
「あはは。すぐるう、もっと早く歩けよぉ! なあなあ!」
 なあなあ、と無邪気に呼び掛けながら、隣から五条の白い指がつんつんと頬をつつく。というか、ぶすっと爪が柔らかい頬の肉に突き刺さる。痛い。
 溜息を吐きたいのを堪えながら、ちらりと隣の男を見る。朧気な街灯に照らされて、やたらと赤い顔で何がおかしいのやらきゃらきゃらと笑っている。まるで普段とは別人だ。仕事中もプライベートでも、こんな風に笑う五条を見たことがない。普段も勿論可愛いが、今の顔も可愛い……のだが、いかんせん肩にのしかかられて重い。当然だ。夏油と同じくらい背が高い成人した男が軽い筈がない。
「痛いですって。やめて下さい」
 けらけら笑いながらまた爪を頬に突き刺そうとするので、夏油は顔をしかめて身を捩った。五条に肩を貸して抱えている所為で派手に動けず、易々と頬に爪からの追い打のようなダメージを受けた。痛い。
 やっぱりタクシー使った方が良かったかも……と内心で後悔しながら、今度こそ溜息を吐いた。
 夏油が仕事に必要な資格試験の初級に合格したので、五条が『上司の俺が奢ってやるから好きな店選べ』と言ったのだ。確かに五条は上司だが、同時に可愛い恋人だ。恋人に奢らせる男なんて……と夏油は難色を示したが、五条は俺に奢らせろと言って聞かなかった。実は意外と面倒見がいい。あと五条の方が給料がいい。上司なんだから。有り難く奢られる可愛い部下に扮することにした。
 夏油は別に、五条と一緒に食事出来るならどんな店でも良かった。なので、夏油が間借りしているアパートから徒歩でも行ける場所にあるこぢんまりとした居酒屋をリクエストした。こぢんまりしているが、料理も酒も美味い。隠れた名所だと密かに気に入っていた。
 夏油が酒を注文するのに合わせて五条も頼んでいたし、てっきり飲めるのかと思っていた。が、五条はほんの数口飲んだだけで真っ赤になり、グラスの中身を空ける頃にはぐでんぐでんのべろんべろんに酔っ払って机に突っ伏してしまっていた。これはヤバいと夏油は早々に食事を切り上げ、タクシーでとりあえず自宅まで五条を運ぼうとした。だが店を出る間際になって五条が起き上がり、夏油のアパートまでくらいの距離なら自分で歩けると言い張ったのだ。そして今、このザマだ。全然自力で歩けていない。
「飲めないならそう言って下さいよ。別の店でも良かったんですよ」
 別に店は何処でも良かった。酒が飲めなくても別にいい。五条と一緒に食事するだけで楽しいし幸せなのだから。
「……だって、」
 急に五条は笑うのをやめ、しおしおとうなだれてしまった。え、と思う間もなく、サングラスの下からぽろ、と雫が零れた。ぎょっとした。思わず足を止めた。
「ご、五条さん!?」
「だって、……お、オマエが、試験に受かったから、い、祝ってやりたくて、オマエに、喜んで欲しくて、そ、それで、……うう、」
 ぼろぼろと涙が頬を伝う。五条が乱暴にサングラスを取り払い、上等のスーツの袖でごしごしと目元を拭った。笑い上戸の次は泣き上戸。情緒不安定過ぎる。もしかして、仕事の多大なるストレスにより精神が脆くなっているのだろうか。普段はそんな気配は微塵も見せない隙のない上司だが、酒の所為でそれが露呈しているのかも知れない。
「五条さん、そんな泣かないで下さい。合格を祝って貰えて嬉しいので、」
 袖が汚れるのが五条本人よりも夏油の方が気がかりで、腕を掴んで顔から引き離す。と、涙で濡れた青い目が、夏油の目を捕らえる。潤んだ目も赤い頬も、酒に酔った所為だと分かっている。なのに、セックス中の五条の表情を連想させた。ビリ、と頭の奥に電気を流し込まれたかのように、痺れる。
「……もうすぐ私の部屋なので、そこまで頑張って歩いて下さい」
 酔っ払い相手に何を不埒なことを考えているんだと、己の煩悩に蓋をしながら五条から目を背けた。五条の肩を担ぎ直して、歩行を再開する。しようとする。だが五条が歩いてくれない。
「っ五条さん、」
 五条は俯いている。何も言わず黙っているので、不安に駆られる。
「大丈夫ですか。もしかして気分悪いですか?」
 こんな場所で吐かれたらそれはちょっと困る。せめて自宅までは持ってくれと、祈るような気持ちになった。
 五条が顔を上げ、縁が赤く染まった目を夏油に向けた。再び、むくむくと煩悩という名の魔物が頭をもたげそうな気配がある。普段飲まない酒で体調が悪いのであれば、五条を心配しなければいけない場面なのに。
「トイレ行きたい……」
 少し切羽詰まったような小さな声が、鼓膜を震わす。五条が眉尻を下げて顔をしかめ、太股を擦り合わせるような動きをする。尿意を我慢するその仕草に、己の中の不埒な感情がどんどん膨れ上がっていく。
「……もうすぐ着くので我慢して下さい」
 必死で、五条から目を逸らす。変な汗が脇やら額やらに滲むのを感じた。夏油に見られながら尿を漏らしている五条の妄想の映像が、脳内で勝手に再生され始める。振り払うように歩こうとする。だがやはり五条が歩いてくれない。夏油のスーツの袖を掴んで、くいと引っ張る。
「……やだ。我慢出来ない……」
 まるで小さな子供みたいなことを言う。青い目の縁に、新たな涙がじわりと滲む。その言葉の所為で、その仕草の所為で、夏油の頭の中がまずい事態になっていると、この酔っ払った上司は分かっているのだろうか。多分分かっていない。夏油相手だからと駄々を捏ねるようなことを言うのにも、優越感が募る。夏油の前だからと飲めない酒を飲んだことにも――五条の行動が全部、夏油の前だけだと思うと五条をめちゃくちゃにしたくなる。
 聞き分けのない子供に呆れるように、わざと溜息を吐く。内心では、この男に酷いことをしたいと、綺麗な顔を涙やら鼻水やら唾液やらでぐちゃぐちゃに汚したいと、そればかり考えている。
「じゃあ、こっちに来て下さい」
 五条の手を引き、自宅のある方向とは別の道へと誘う。何故か五条は、今度は大人しくついて来た。トイレに行かせて貰えると、期待しているのだろうか。
 細い路地の先に、小さな公園がある。昼間はこの近辺に住む子供の遊び場で、子を持つ母親同士の集いの場となっている公園だ。夜の今は、誰もいない。
「夏油、……ど、何処行くんだよ……?」
「トイレですよ。我慢出来ないんですよね?」
 公園の端にある公衆トイレへは五条を連れて行かずに、公園の奥の茂みへと引っ張り込む。戸惑う五条を木の陰に立たせて、自分は彼の正面に立つ。街灯の光だけが照らす薄暗い茂みで、五条の目が不安げに夏油を見る。
「……夏油、トイレ、」
「何言ってるんですか。トイレですよ、ここ。もうおしっこしていいんですよ」
 流石にそれは無理があるだろうと己の発言に内心でツッコミを入れる。いくら五条が酔っていて頭が回っていないとはいえ、そんな嘘を信じる筈がない。……まあ、信じなくてもここでするのを嫌がっても、ここで無理矢理させるのだが。思わず口元が笑みの形に歪む。恐らく、人の悪い笑みを浮かべている。
「もう、おしっこしていいの……?」
 普段とは全く別人の頼りなげな目が、戸惑いに揺れる。幼い口調も、まるで子供みたいだ。身体は大人なのに。頭脳明晰な男なのに。そのちぐはぐな姿が、余計に劣情を煽る。夏油はゆるりと微笑んだまま、頷いた。
「いいですよ。我慢せずいっぱい出して下さい」
 ほら、と、五条のベルトに手を掛ける。五条は抵抗もせず、大人しく突っ立ったままでされるがままだ。まるで屋外で用を足すのを夏油に見られることの意味なんて理解していないかのように。異常なシチュエーションに、ぞくぞくした。
 ベルトを緩め、ジッパーを下げる。静まり返った夜の公園に、かちゃかちゃと金属音と、ジーッとジッパーを下ろす音が、やけに大きく響く。緊張と興奮とで、手の平が汗ばんだ。下着ごとスラックスを下げれば、萎えた白い性器が姿を現す。五条が外で性器を露出させているということだけで、既に夏油の下半身は反応しそうになっていた。逸る気持ちを必死で押さえ込みながら、五条の肩をそっと押す。
「しゃがんでして下さい」
 耳に息を吹き込むようにして、低く囁く。セックス中にこうやっていやらしい言葉を囁いてやれば、いつも五条はがくがく身を震わせて悦ぶ。案の定というか酒の所為で異様に感度が鋭くなっているのか、五条の身体がぴくんと跳ねた。
「っえ……?」
「座って」
 先程はここがトイレだとあからさまな嘘を信じていたようだが、今は戸惑いの表情を浮かべた五条を無理矢理その場に座らせる。ズボンも下着も踝辺りまでずり下げて性器も太股も膝も下半身全てを露出させたのはより背徳感を煽る為だけでなく、すぐには逃げられないようにという計算だ。もっともそんなことをせずとも、酔って弛緩した五条が逃げるなんて出来ないだろうけれど。一応、保険だ。夏油は用心深いのだ。
 尻を浮かせて茂みに座らせ、両足を外側に開かせる。所謂、『うんこ座り』だ。この体勢で用を足すなんて、素面であればプライドの高い五条には随分屈辱的な筈だ。しかし今の五条は顔を赤らめ、困ったような上目遣いで夏油を見はするものの、抵抗する素振りはない。その幼く何も分かっていないかのような表情と、外で性器を露出させて座り込んでいる五条の姿とがちぐはぐで、背徳感も興奮も増す一方だった。
「げ、とう、……何してんの?」
 きょと、と五条が夏油を見上げる。スマホの画面に、暗い茂みで下半身を露出させたまま座り込んだ男の姿が映る。撮影開始のボタンを押しながら、夏油の口元には笑みが貼り付いたままだ。
「メールの確認をしているだけです」
 さらっと嘘をついて、こちらを怪訝そうに見上げる五条の姿を動画に納めていく。画面から目を離して、五条を見下ろしてにっこりと微笑む。
「どうしたんですか、五条さん。トイレ行きたかったんですよね? もうしてもいいんですよ」
「っえ、……でも、」
 躊躇うように、五条が視線を彷徨わせる。でも立ち上がったり、逃げようとはしない。限界を訴えるように、ふるりと身体が揺れる。迷うように、瞳が揺れる。恥じるように頬を赤らめて、いや、酔っているだけなのかも知れないが、困惑の表情を浮かべる。
「……夏油、見てるの……?」
「はい。見ててあげますからして下さい」
「……ッあ、……や、やだ、」
 急に我に返ったのか、五条は真っ赤になって身を捩った。せっかく夏油が左右に大きく開かせた足をまた閉じてしまって、覚束無い所作で立ち上がろうとする。夏油は狼狽える五条を画面に納めたまま、片手で軽く五条の肩を押さえた。力が入らないのか、大して強く押した訳でもないのに五条はまた座り込んだ。
「どうしたんですか。漏れそうなんですよね? していいんですよ」
「だっ、て……ここ、トイレじゃない、」
 ふるふると五条が首を左右に振る。気付いてしまったらしい。でも、彼はもう袋の鼠だ。顔がにやつくのを抑えられない。
「でももう我慢出来ないですよね? 大丈夫ですよ。私以外に誰も見てないのでして下さい」
「う、……や、だ……ッねえ、と、撮ってる……?」
 涙の浮いた目が、スマホのカメラへと向けられる。気付いてしまった、らしい。酔っ払いの割には感が鋭い。
「撮ってないですよ」
「う、嘘だ……ッ! やめ、ろ! 撮るなばか、」
 力の入らない腕を振り回し、五条が夏油を振り払う。魔の手から逃れようとする。小さく息を吐いて、夏油はスマホをポケットにしまった。今は周囲に誰もいないが、誰も通りかからないとは言い切れない。騒がしくすれば、同じような酔っ払いのサラリーマンやらやかましい野良犬なんかを引き寄せてしまうかも知れない。
「静かに」
 五条の背後に回り込み、五条の背に覆い被さるようにして、耳元で囁く。ビク、と五条の肩が跳ねた。五条のぬくもりを感じる。酔って体温が上昇しているのか、熱い。
「もう撮らないので、ここでして下さい」
「っう、……で、でも夏油、ここトイレじゃな、」
「大丈夫ですよ。他に誰も見てないので」
「で、でもげとう見てる、」
「私しか見てないので大丈夫です」
 さっきから同じようなやり取りが延々ループしている気がしないでもないが、優しく諭すように囁きながら閉じられた足を再び左右に開かせる。五条は躊躇うような素振りを見せつつされるがままだ。五条を上手く騙くらかして誑かして操っているようで、――悪いことをしているようで、酷く興奮した。
「ほら五条さん、もう我慢の限界ですよね?」
 あくまで優しく訊きながら、そっと五条の下腹を押さえる。びくびくと、下腹が大きく震えた。太股が小刻みに震える。限界を訴えるかのように。陥落するのも時間の問題だと思った。
「や、やだ……っ♡は、はずかし、」
「恥ずかしいからって我慢するのは身体によくないですよ」
 しれっと正論のような適当なことを抜かしつつ、後ろから白い性器へと手を滑らせる。萎えたものを握り込み、反対の手で尿を押し出すように下腹をぐっと押さえつけ、排尿を促すようにやわやわと性器を揉みしだき、とどめとばかりに耳にどろりと溶けそうな甘い言葉を吹き込む。
「『おしっこ出ちゃう』って言いながらして見せて下さい」
「……ッあ゛……っ♡」
 ぶる、と五条の身体が震える。声も震える。握った竿の先から、しょろ……♡と少量の尿が出た。五条が身を捩ろうとするのを腹に腕を回したまま押さえ込み、足を閉じようとするのを素早く両手で膝を固定して阻止する。
「や、や゛だ♡待って出る、」
 一度出てしまうと歯止めが利かない。一度でも、少しでも解放感を味わってしまうと、堰き止めるのは至難の技だ。それは同じ人間なので夏油もよく理解している。だから一度出してしまうと後はこちらの思う壺だ。
「あ゛♡う……ッ♡出る♡出ちゃう♡♡も、おしっこ出ちゃ、う……♡♡♡」
 夏油に背を預けるようにして、足を大きく開いたままで五条の性器の先から尿が迸った。余程我慢していたのか、大量にじょろじょろと勢いよく出る。草むらにびしゃびしゃと飛び散って、土を濡らす。微かなアンモニア臭が漂う。ぞくぞくした。
「あひ♡あ♡いっぱい出る♡♡やだ、止まんない♡」
「いっぱい出ますね、五条さん。大人なのにこんな場所でこんな格好でおしっこして、恥ずかしいですね」
「や♡見んな……♡♡恥ずかしい♡んん゛っ♡♡あ♡」
 わざと羞恥を煽り、罪の意識を五条に植え付け、少し尿の勢いが弱まって来た性器を握り、扱く。ちょろちょろとまだ尿を流している性器が少し硬くなって、五条の身体がびく♡びく♡と跳ねた。
「や……ッ♡だ、だめ♡こんな、とこで、らめ……♡♡」
「でも五条さんは恥ずかしいのが好きなんですよね? こんなとこでおしっこしながらちんこシコられて、勃たせてるじゃないですか」
 ぴゅく♡と最後の名残のように尿を飛ばした性器をずるずると上下に扱く。硬度が増して、ピンクの亀頭がぷくりと露出する。尿で濡れた先端に指を這わせると、尿よりも少し粘くとろみのある透明な液体がじわりと滲んだ。腕の中の五条が快感に耐えきれないというように喉を仰け反らせ、切なげな吐息を零した。
「はぁ♡あ、あ゛……ッ♡♡♡きもちい♡んッ♡あ♡あ……っ♡」
「五条さん……エッチしたいです」
 すりすりと性器を擦りながら、爛れた願望を口にする。硬くなって下着とスラックスの生地を押し上げているものを、ごり♡と五条の尻に押し付ける。甘やかに媚びるように喘いでいた五条はしかし、弱々しく首を横に振る。
「やだ……♡外でえっちするの、だめ……♡」
「……じゃあ私の部屋でしましょう」
 流石に、ここで最後までする度胸は夏油にもなかった。
 五条の首筋に鼻先を擦り付ければ、ほんの少し汗の匂いがした。べろりと舐めると少ししょっぱい。くらくらする。まるで媚薬だ。
 外じゃなかったらいいのか、五条は黙り込み、恥ずかしげに小さくこくりと頷いた。
 酔った恋人を自宅に連れ帰るのは、介抱するのが目的だった筈だ。酔って前後不覚に陥った相手に手を出すなんて最低だ。でも五条相手には、最低なことをしたいという願望が込み上げて、暴走して、歯止めが利かない。


 座り込んでしまいそうになる身体を夏油に無理矢理引き起こされて、壁に背を押し付けられたままで片足だけを上げさせられる。不安定な体勢だ。素面であればバランス感覚を崩さないのはそれ程難しい訳ではないが、酒で頭が回らない上に散々指で後ろを解されて蕩けて力が入らなくて、脳がぐらぐら揺れるような感覚に襲われて倒れそうだ。
「あ、う……ッ♡げと、う、」
 ぐらりと傾ぐ身体を壁と夏油の身体とに挟み込まれ、身動きが取れない。勿論、逃げる術もない。抵抗する気力もない。ぐたりと弛緩したまま、指ばかり咥え込まされてすっかりとろとろに緩んだ後孔の入り口に、夏油の硬く猛ったものの先端がぴとりと押し当てられて息を呑む。ぞわりと鳥肌が立った。
「夏油、――ッああ゛……ッ♡♡♡」
 こんな場所で立ったままするなんて、ベッドに移動したい、という言葉を遂に口にする間を与えられることなく、その代わりに泥濘んでひくひく収縮している穴に太い楔をご褒美を与えるとばかりにぐぷりとねじ込まれた。ずっと欲しかったものを欲しかった場所に与えられて、歓喜に喉が震える。腰もがくがく震えて、挿れられただけでびゅるびゅると勢いよく射精してしまった。夏油の部屋の玄関で。
「はあ♡あ゛ー……ッ♡♡ち○ぽ、きもちい♡♡♡や゛っ♡待って今らめ、」
「待てないです」
 射精したばかりで殊更に敏感になった身体の奥を、夏油の怒張に容赦なく蹂躙される。ぐぷ♡ぬぷっ♡と濡れた音が狭いアパートの玄関に響く。飢えた獣のように腰を使って好き勝手犯される身体がビクビク跳ねて、残滓のような白い粘液がぴゅくぴゅくと飛ぶ。ぎゅうと夏油にしがみついて凄まじい快感に必死で耐えようとするが、ごりゅ♡ぐりゅっ♡♡と乱暴に亀頭で前立腺を穿たれて、どろりと溢れ出た精液がまた腹を汚した。
「だめ、ってぇ゛♡あぁ゛♡も、こひゅっちゃらめえ゛♡♡♡」
 張り出したカリ首の段差を使って膨れた前立腺を責められて、腹の奥で熱が渦巻く。ぼやんと酩酊したまま快感だけがずっと続いておかしくなりそうだ。萎えもせず勃ったままの前がぴゅくぴゅくと先走り汁を飛ばして、精液で汚れた亀頭を卑猥な汁で濡らした。
「だめですか? こんなにきゅうきゅうち○ぽに吸い付いてるま○こなのに?」
 ぎゅうと壁に背を更に押し付けられ、夏油の身体が密着して、息が苦しい。苦しいのになかを夏油のもので撹拌されると堪らなく気持ちいい。もっととねだるように腰が浮く。自分からいい場所に当たるように腰を揺する。蕩けた顔で淫らなことを口にするしか出来なくなる。
「らめ、じゃないい゛……♡♡げとぉのち○ぽきもちいいい♡しゅき♡♡♡もっと、」
「素直で可愛いですね」
「っん♡む♡んん……ッ!♡」
 繋がったままでぶちゅっとキスされ、従順に口を開けば舌が差し込まれる。まるでくちのなかまで夏油専用だとでも言いたげに当然のように舌が入って来て、勝手知ったる動きでじゅぷじゅぷ唾液の音をさせながら気持ちいい場所を全部舌で撫で擦られる。頭がぼんやりして、息が出来なくて苦しいのに、じんじん身体中痺れてぽやぽや宙に浮いているみたいだ。
 ちゅ♡ちゅ♡ちゅぷ♡じゅる♡じゅぷ♡♡♡
「ん、ぐう♡はふ♡んー……ッ♡♡」
 舌を吸われて上顎をなぞられ、舌の裏側まで舐められて、唾液が口端から溢れ出た。もはや、自分の唾液なのか夏油の唾液なのか分からない。力が抜ける。立っているのが難しくて、ずるずる壁伝いに座り込みそうになる。それを許さないとばかりにぐぷっ♡と太い楔で粘膜を擦り上げられる。また、イッた。キスされたままびくびく震えて絶頂した。だが精液は出なくて、勃起したままの性器はぴくぴくしながら切なげに透明な蜜を吐き出している。
「はぁ゛♡あ゛んッ♡♡も、イッひゃ……っ、イッてる♡あ゛ん゛ッ♡♡」
「女の子みたいですね、五条さん」
「だ、れが……っ! っあ、待って、ねえ、」
 精液と先走り汁が混じり合ってどろどろの性器に手を添えられ、扱かれる。ぐちゅぐちゅといやらしい音がした。直接的な快感が脳髄まで蕩かせる。前が気持ちいいと連動するみたいに後ろをきゅん♡と締め付けてしまって、夏油の性器の長さや太さをよりダイレクトに感じる。両方気持ちいい。ばかになりそうだ。
「ま○ここんなにきゅんきゅんさせてち○ぽ必死で咥えてメスイキして、」
「待って夏油、ッひ♡あ゛♡しこしこらめって♡すぐる、」
 とろとろと力なく精液が流れ出た。イき過ぎてもう訳が分からないのに、夏油は扱くのを止めてくれない。敏感な亀頭にまでぬるぬると指を這わされて、むず痒いような感覚が尿道を駆け上がる。同時に競り上がって来るものがある。身に覚えのある感覚にぞくぞくぞくっ♡と背筋が痺れた。
「すぐ、る♡だめ、それ、ッあ゛っ♡出る♡でるでる♡♡♡♡あっ♡出ちゃ、ッあ゛ー……ッ♡♡♡」
 びゅ♡びゅ♡びゅーーーーーーーーー♡♡♡
 ビクッ♡ビクッ♡ビクンッ♡ビクンッ♡♡♡♡
 透明なさらりとした液体が吹き上がって、びしゃびしゃと夏油のスーツやら床やらに降りかかった。快感だけが頭の中をぐるぐるして、何も考えられない。涙やら涎やらおまけに潮やらで汚れた酷い顔を夏油に覗き込まれて頬を撫でられ、頬が異様に熱を帯びる。あつい。夏油が触れた場所が、全部熱くて火傷しそうだ。
「う♡あ……ッ♡すぐる、」
「潮吹きまで出来て、」
 女の子ですよね、もう。
 面白そうに夏油が囁く。くすくすと笑う声が鼓膜を擽る。でも、夏油が喋っている内容なんてろくに頭に入らない。ぼんやりしたまま快感に脳を侵されて、ビク♡ビク♡と壊れたみたいに腰を跳ねさせて、身体から力が抜ける。のに、夏油は座らせてはくれなくて、それどころか唯一床と接していた方の足まで膝裏に手を差し込まれてぐ、と持ち上げられてしまった。身体が、宙に浮く。夏油と繋がったままで。
「や♡あ、待ってやだ、やだすぐる♡♡♡」
「五条さん、暴れないで」
 この体勢、ヤバいやつだ、と直感が告げて、ひくりと喉が鳴る。無意識にじたばたと身体が暴れようとして、同時に無意識に暴れたら落ちると身体が認識しているのか、暴れるのを脳が止めようとする。ぎゅ、と夏油の肩にしがみついた。壁と夏油に挟まれたままの不安定な体勢で、自重の所為で身体が沈み込む。ぐ、と、深い場所に夏油の怒張が刺さる。奥の、行き止まりの場所を、ごちゅ♡と亀頭に叩かれる。
「あ゛……ッ♡も、だめ♡おくはいっちゃ、らめ♡♡♡」
 行き止まりの壁を硬い亀頭でごりごり削り取られるように抉られると、あまりの快感に意識が飛びそうになる。快感から逃れたいのに、身体をしっかり挟み込まれていて逃げ場がない。というか、落ちそうで下手に動くことも出来ない。されるがままでごちゅごちゅ性器をねじ込まれ、ぴゅ♡とまた潮なのか精液なのかよく分からない体液が飛んだ。
「あぁ゛♡う♡だ、だめぇ♡♡♡」
「入りますよ。入るに決まってるじゃないですか。五条さんのま○こも、奥に挿れて欲しそうに緩んで来てひくひくしてますよ」
「してな、いぃ゛……ッ♡あ゛っ♡あッだめ、あ゛ッ♡♡」
 ぷるぷると首を横に振って否定する。必死で拒もうとする。受け入れたら、色々終わる気がする。なのに、夏油の言う通り、何度も穿たれた場所が次第に緩んで来るのが自分でも分かる。緩んで、亀頭の形に添うようにくぱ……♡と奥が開いて、ひくひく震えながら亀頭に吸い付いてもっと奥へ誘い込もうとする。メスになるのを、身体が従順に受け入れている。ぞくぞくした。
「だめじゃないです。ほら」
 夏油が腰を前に突き出した。強引に、ぐぽんっ♡と異音をさせてカリ首まで奥へ埋め込む。逃げられない体勢のまま一番奥まで太いもので貫かれて、一瞬息が詰まった。頭の中も、目の前も真っ白に染まる。
「ッあ゛ー……ッ♡♡♡♡や゛♡あ゛ッ♡あッ、すぐりゅ、」
 すぐりゅ、と舌足らずに呼ぶ口の中にまで、びゅくびゅく飛んだ己の精液が飛び込んで来た。不味い、と味を感じるより先に、一番深い場所に夏油の熱い精液をどくどく注ぎ込まれて、輪を掛けて奥が気持ちいい以外のことを考えられない。
「ひゅぐりゅ……♡きもひい♡♡ザーメン熱い♡♡♡ま○この奥、きゅんきゅんすりゅ♡あぁ゛♡んッあ゛ッ♡あ゛ッ♡あ゛んッ♡♡♡♡」
「私も、気持ちいいです。ま○この奥柔らかくてとろとろで気持ちいいです。好きです、五条さん」
 濃いのを出したのに全然萎えていない夏油が、奥の入り口で性器を扱くように腰を動かす。結腸口にぴたりと嵌まり込んだカリ首の段差が、夏油が動く度にリング状の狭くなった入り口に擦れてぐぽぐぽと異様な音が鳴る。夏油の精液が潤滑油代わりになって、ぐちゅんぐちゅんと泡立った音をさせて中の敏感な場所をひたすら擦られ蹂躙される。訳が分からないくらい気持ちよくて、これ以上気持ちいいのは恐くて嫌なのに、奥の口が自分の意思とは無関係にきゅうきゅうと夏油の雄を締め付けて悦ぶ。恐いのと気持ちいいのとがごっちゃになって、ぼろぼろと両目から涙が溢れた。
「ッうあ♡あ♡もぉ、ぐぽぐぽらめぇ゛♡♡♡ま、またイッちゃう♡だめ♡しおふいひゃう、」
「吹いて下さい」
 吹くとこ見せて下さいと、夏油がより身体を密着させて囁く。密着されると性器までがより奥まった場所をぐちゅんと突く。抗える訳もなく、五条の性器の先からぷしゃ♡♡と間抜けな音をさせて透明な潮が吹き上がった。
「あ゛ーッ♡♡や♡で、出る♡出てう♡♡っひ♡しお、いっぱい出る♡♡あ゛ッ♡きもちい♡♡♡あ゛ぁっ♡♡♡」
 一度出てしまうと止まらないのは尿と同じだ。次々とぷしゅ♡ぷしゃっ♡と吹き上がって、夏油が腰を揺すって奥を撹拌すると、壊れたみたいにびゅーびゅーと潮が飛び散った。
「やあ゛♡とまらないぃ♡♡♡ちんこばかになってう♡あ゛ぁ♡んッあッ♡」
「……さとる、可愛い」
 不意打ちで名前を呼ばれて心拍数が跳ね上がる。ドクン、と、歓喜したように、奥がきゅうんと夏油の亀頭を食む。既に夏油の体液でどろどろに泥濘んでいるなかに、また夏油が白濁を吐き出した。どろどろと濃いのをいっぱい流し込まれて、一度目の精液と合わさると量が多過ぎたらしくどろりとなかから受け止め切れなかった分が零れ落ちて来る。それを勿体ないと思ってしまう。勿体ないし、幸せで頭がぽやぽやするし、気持ちいいし、泣けて来る。
「あ♡♡う、……う、すき、」
 ずびずび鼻を啜りながら無意識に口走っていた。好きだ。好き過ぎて、何処にも行って欲しくない。ずっと一緒にいて欲しい。夏油がいないと寂しい。酔っている所為だろうか。こんな弱々しいこと、普段は絶対考えないのに考えてしまって、甘えるようにぎゅっと夏油にしがみついてしまう。
「下ろしますね、五条さん」
 流石に腕が疲れたのか、夏油がそうっと五条の身体を床に下ろした。まるで壊れ物を扱うように丁寧だ。ずるんとなかから性器が抜け出て行く。肉壁を擦る竿の感触に、敏感な身体はまた快感を拾ってびくりと跳ねる。
「あ、……っすぐる、」
 なかに何も埋まっていないのが、それが普通の筈なのに、寂しい。穴の奥が寂しがって、きゅん♡と収縮した。
「お風呂、沸かします」
 部屋の奥へと行こうとする夏油のシャツを掴んで引き留めた。
 寂しい。から、傍にいて欲しい。
 潤んだ目で夏油を見上げると、夏油は何も言わずに五条にキスした。舌が、唇を舐めて、唇の間から差し込まれて、舌を吸われる。ぞくぞくと甘やかな痺れが腰を蕩かせた。もっと、と口を開けるのに、夏油はすぐに唇を離してしまって、愛しげに五条の髪を撫でた。髪に触れられているだけでも、気持ちいい。髪が性感帯になってしまったみたいに。あれだけ快感を貪ったのにも関わらず、夏油に触れられただけで、すぐにまた夏油と繋がりたくなる。
「……ねえ、……もっと、」
 髪を撫でる夏油の手を掴んで、ねだる。夏油は少し驚いたように目を瞠って五条を見下ろした。
「……でも、五条さん、疲れてるでしょ」
 迷うように、視線を動かす。もっとしたいのは、夏油も同じ癖に。夏油はケダモノの癖に、変なところで弱気になったり紳士ぶったりする。でも、自分には夏油の理性を簡単に崩壊させることが出来ると、五条は知っている。
「いいから、……もっと傑とえっちしたい」
 薄らと淫靡な笑みを浮かべて、夏油を誘う。さっきまで夏油の太い雄を咥え込んでいた所為ですっかり拡がってしまった自身の穴を、ぐぱりと指で左右に拡げて見せつける。媚肉がひくつき、出されたばかりの濁った白濁が、どろりと零れて床に垂れた。卑猥なものを見せつけられ、萎えていた夏油の性器が再びむくむくと頭をもたげるのを、五条は見た。
「……じゃあ、ベッドに行きましょう」
 酔ってるからって途中で寝ちゃだめですよと、夏油が五条の耳に囁く。低く掠れて甘い声は、五条の身体の芯をどろどろにする。溶けた砂糖菓子のように、どろどろになって、形を保てなくなる。
 また、寂しい場所を熱い楔で埋めて貰える。その凄まじい快感を想像して、五条は期待にひくりと喉を鳴らした。

(終)