君は従順でやらしい私の飼い猫

 ばたばたと騒々しい足音が寮の廊下に響いた。ベッドに背をもたせ掛けて座る自室の定位置に収まり、文庫本を読んでいた傑はああ帰って来たなと思いながら目を上げて時計を見た。昼を少し過ぎた頃合い。予定では今日の任務からの帰宅は夜となっていたが、いつも通り予定よりも早く終わったらしい。
 間もなく隣室の住人がこの部屋に飛び込んで来て、しばらくは本も読めない程煩くなるだろう。とはいえ、それは全く嫌ではない。むしろ彼の帰宅を楽しみにしていたので、口元に自然と笑みが浮かんだ。予想通り、ノックもせずにバーンと勢いよくドアが開く音がする。この寮ボロいんだから、力加減に気を付けなよと何度注意しても気を付けるつもりがないらしい。
「すぐるー! なあなあ見て! すげえ面白いだろこれ!」
「お帰り悟。何が、」
 興奮したような声に悟に目を向けて、傑は危うく手に持っていた本を取り落としそうになった。
「ほら! な!? 笑えよ!」
 悟は傑の目の前まで来て座り込むと、目を見開いて固まっている傑に向かって自身の頭部を指差した。さらさらに見えて存外ふわりとした手触りの白い髪はいつも通りだが、その髪の間からにょっきりと、二つの白い耳が生えている。人間の耳ではない。動物の、――猫のような、白い毛が生えた三角の耳だ。
「しかも尻尾も生えてんの! ウケんだろ!?」
 悟は自分でげらげらと笑いながら、少し身を捩って鷲掴んだものをずいと傑の方に差し出した。耳同様に白い毛が生えた長い尻尾だ。悟に握り込まれたまま、先端がゆらゆらと揺れている。耳の尖り方も、尻尾も、まるで猫だ。身長が百九十もある、サングラスを掛けた猫。猫にしては柄が悪過ぎる。
「……どうしたの、それ」
 唖然としたまま訊けば、悟は「猫になった!」と何故か自慢げに言った。全く自慢になっていない。
 今日の悟の任務は、今や廃墟となって久しい遥か昔からある大きな屋敷での呪霊討伐だった。そこの家主がどうしようもない変態で、猫を何匹も飼って虐待していたらしい。その猫達の怨念が、呪霊となり近隣に被害を及ぼしていたようだ。
 ということは、任務で呪霊からの攻撃を受けてしまったのだと容易に想像がつく。悟ほどの呪術師が呪霊からの攻撃を食らって呪われてしまうなんて、よほどのことだ。と思ったが、悟の様子を見ると面白がって自分から呪いに当たりに行ったのだろうかとすら思えて来る。有り得る。彼は五条悟だ。面白いことの為にこんなふざけたことまで平気でしてしまう人間だ。
「悟、それわざと呪い受けたの?」
「え? 当たり前だろ。本気の俺がこんなショボ呪霊の呪いなんて食らう訳ねえじゃん。猫になった方が面白いかと思っただけ。硝子に見せたら害はないって言ってたし。その前にキッショってキレられたけど。何で? 面白くない?」
「……」
 小首を傾げ、何で俺が考えた最強の面白いことが誰にもウケないんだよと心底疑問に思っていそうな声で悟が訊くので、傑は溜息をつきたくなった。
 面白いとか面白くないとかじゃなくて、どんな害があるかも分からないのに呪いになんて当たるなよ、と思う。害がないと硝子が言っているからよかったものの。いやまあ、悟も害がないと分かっていたのだろうとは思う。それでも面白いからという理由だけで呪いに自ら当たりに行くなんて、呪術師としては手本にならない。常軌を逸している。それに面白いかと言われたら……やっぱり面白くはない。
 じっと悟を見つめる。白い耳が時折ぴくりと動いて、ふわふわの尻尾が揺れる。そっとサングラスのつるを持って外すと、普段は隠されている綺麗な目が現れる。不思議そうに傑を見つめながら、すぐる? と、唇の間から親友の名前を零す。透明感のある青い目と猫耳が恐ろしくアンバランスだ。いや、歳の割にあどけない表情と逆にマッチしている気がしないでもない。
 面白くはないが、可愛いかも知れない。普通は、身長が百九十センチもある男に猫耳と尻尾が生えても可愛くもなんともないだろう。確かに悟が言うように面白いかも知れない。いや見る人によっては変態だと騒ぎ立てられた挙句警官に取り押さえられる騒動にまで発展する危険性がある。だが悟に猫耳と尻尾が生えるのは――思った以上に可愛かった。
 黙ったまま悟のサングラスをテーブルに置いて、手を伸ばして頭に生えた耳の片方に触れてみる。毛がふわふわで手触りが良くて、想像以上に本物の猫の耳だった。
「っん、」
 ぴくん、と悟が肩を跳ねさせた。こそばゆいのか、耳を撫でて耳の内側へと親指を滑り込ませると小刻みに肩を震わせる。内側と外側から指で挟んで手触りを確かめるように擦ってみると、悟が今度はビクリと痙攣するように身体を揺らした。
「っあ、待って、すぐる、」
「何?」
「や……♡み、耳、さわんないで、擽ったい、」
 悟の声に力がなく、何処か艶めいたものを感じる。見れば、頬が赤い。開いた唇からはあはあと熱っぽい息を吐いて、六眼がとろりと潤んでいる。目を疑った。本当にこそばゆいだけなのだろうか。別の感覚に襲われているように見えるのは、己の心が穢れているからなのだろうか。
「呪いで生えただけの偽物なのに擽ったいの? ……じゃあ尻尾は?」
 悟が握ってこちらに見せびらかしていた白くて長い尻尾の先を掴んで、さわさわと撫でる。尻尾への刺激にも悟は同じ反応を示した。ぴく、と身体を震わせて、何かを我慢するように、唇を引き結んで黙り込んでいる。
「悟、どう? 擽ったい?」
 面白くなってきて、猫耳に身を寄せて息を吹き込むようにして囁き掛けながら、尻尾の先を指先でぐりぐりと押し潰した。閉じられた悟の唇が我慢出来ないというように少し開いて、唇の間からあ、とかう、とか、中途半端な声が発せられる。尻尾の先に軽く爪を立てれば、ビクンッ! と悟が大きく身をしならせた。
「っあ゛……ッ♡すぐ、る♡ま、待って、し、尻尾、やら♡」
 力なく傑の腕を掴んで、ふるふると首を横に振る。何かを期待するような目が、媚びるように傑を見た。どう見ても、擽ったいだけではない気がする。もっと追い込めば悟の感覚を剥き出しに出来る気がして、傑は尻尾を握って強めにごしごしと扱いた。――別の場所に愛撫を施す時のように。
「あ、あ゛ッ♡や♡らめ♡すぐるッ、ひにゃ♡あ゛っ!」
 悟は目に見えて狼狽して、ぎゅうと傑の腕を掴む手に力を込めた。悟の手の平がじっとりと汗ばんでいるのが分かる。声が上擦って、甘く掠れて、大きな目に涙が浮いていた。へにゃりと寝てしまった耳が、尻尾の先をかりかりと爪で引っ掻くとぴんと立って毛まで逆立っている。
「だ、め……♡すぐう、っも、やらってぇ゛♡」
「悟これあげるよ。ほら、舌出して」
「んっ……!?♡」
 何故か素直に赤い舌を突き出した悟の舌先に、木の棒のような物を舐めさせる。隙だらけの悟は拒否せずそれを受け入れて、舌に感じるざらりとした感触に身を竦ませた。途端、悟の目がとろりと蕩けたような色を帯びる。弛緩した身体がぐたりと傑の方にもたれ掛って来て、困惑と愉悦が滲むような色を湛えた瞳が傑を見る。
「にゃ、に……?♡」
「マタタビ。この前、悟が買って来て私の部屋に放置して行ったでしょ」
 何故に都合よくそんな物がこの部屋にあるかというと、寮の敷地内に迷い込んだ野良猫を悟が面白がって餌付けしていた所為だ。お陰で猫は高専に住み付いてしまい、更にそれを面白がった悟が通販でマタタビと猫じゃらしまで買って、好きなように猫を蹂躙する計画を立て始めた。ところが猫が入り込んでいるのを見つけた夜蛾により、猫は保護(?)されてしまった。あいつ、絶対猫食っただろ、なんて悟はぶつぶつ不満気に言いながら、何故かマタタビと猫じゃらしを傑の部屋に置いて帰ったのだった。きっと傑の部屋に永遠に置き去りにしたまま、その存在さえ忘れてしまうつもりだったのだろう。それを思いがけないところで使うことになった。まさか悟相手に使うとは思ってもみなかったが。
「ふは、あ……ッ♡」
 マタタビを舐めた途端、悟の猫耳はまたぺたりと寝てしまった。棒の先を持った傑が手を引こうとすると、傑の腕を押さえ込んでマタタビにしゃぶりつく。悟の口の中に木の棒が迎え入れられるのを眺めながら、別の物を喜んでしゃぶっているみたいだなと思う。伏し目がちに咥えて舐めながら、気付かないうちに傑の指にまで舌を這わせている。濡れた生温い舌が指の皮膚を撫でて、指が忽ち唾液で濡れた。じゅぷ♡と唾液の音が口の中から漏れて、その小さな口をもっと太い己の凶器で犯してやりたい衝動に駆られる。
「美味しい?」
「ん♡おいし、はぁ、あ……っ♡」
 眉根を寄せて傑の指まで舐めしゃぶりながら、悟が悩ましげに腰を揺らした。見れば、制服の前を悟の中心が芯を持って押し上げている。――耳と尻尾を刺激され、マタタビを咥えて発情している。もっと意地の悪いことをしたいと、我ながら酷い欲がむくむくと沸き上がるのを止めることが出来ない。
「悟、ほんとに美味しそうにしゃぶるね。違うモノしゃぶってるみたいで可愛いよ」
「にゃに、言ってう、ッん♡んう♡ん゛……ッ♡」
 制服の布地を押し上げている悟の性器につつ、と指先を這わせれば、悟はその弱い刺激だけでぞくぞくと身体を震わせた。頬を赤く染めて身を捩る。くぐもったような声が、鼓膜から入ってそのままダイレクトに股間を直撃する。咥えててね、と優しく指示しながらマタタビから手を離して、悟の学ランを脱がせる。シャツの上から肌を撫でただけで、悟がまた声を上げた。
「すぐ、っん、ん♡」
「だめ。咥えてて」
 名前を呼んだ瞬間に口から落ちそうになったマタタビをまた強引に悟に咥えさせて、シャツのボタンを一つずつ外していく。悟は従順にマタタビを咥えているが、徐々に暴かれていく白い素肌を視線に晒されて、意識しているかのように居心地悪そうに身を捩らせた。汗ばんだ肌の上で、ほんのりと赤く色付いた二つの乳首に目を吸い寄せられる。しかしそこには直接手を触れずに、傑は悟が傑の部屋に置き去りにしたもう一つのアイテム――猫じゃらしを、乱雑に積まれた悟グッズの中から引っ張り出して来た。鼻先に近付けただけでくしゃみが出そうなふわふわのピンク色の毛の塊が、棒の先端にくっ付いている。
「ん、う!?」
 何をされるのか理解したらしい。それでもマタタビを咥えたままで、悟がぷるぷると首を横に振る。嫌だやめろと目が訴えて来るのが、却って劣情を煽られて逆効果だった。
「どうして嫌がるの? 悟は猫なんだから、きっとこれも気に入るよ」
「――ッ……!♡♡♡」
 ピンク色の穂先を悟の片側の乳首に近付けて、ふわふわと擽る。ほんの微弱な刺激の筈なのに、悟の身体がびくびくびく♡と何度も跳ねた。それでも声を殺してマタタビを落とさないように必死で耐えたようだったが、穂先の部分でぐりっと乳首を押し潰すと、口から荒い息と共に切なげな声を漏らした。
「ひにゃ……っ♡あ゛ッ♡だ、だめ、すぐる♡」
 当然、マタタビは滑り落ちて、二人の間の床にぶつかって軽く音を立てた。もはやそれどころではないらしく、ぐりぐりと突起をつつく度に悟は蕩けたような顔で喘ぐ。耳も尻尾もへにゃりと力なく垂れているのに、乳首だけは硬くしこって穂先にも弾力が伝わって来る。ズボンの前に目をやれば、性器に押し上げられた布地が僅かに濡れているのが見て取れた。
「だめじゃないか、悟。咥えたままにしててって言ったのに」
 ぐり♡ぐりゅ♡と強く擦る度、悟の腰が淫猥に揺れる。腰を動かすと当然性器が下着の生地を擦って、そこでも快感を得てしまった悟がひう♡と情けないような声を上げた。
「ごめ、なさ♡だって、それ、あ゛ッ♡や♡にゃあ゛ッ♡♡♡」
「言い訳するなんて感心しないな」
 わざと咎めるように言いながら、ビンビンに尖った乳首から猫じゃらしを離して乳輪を穂先で軽く擽る。悟は物足りないような刺激に眉根を寄せ、やだやだと首を横に振った。
「す、ぐう♡それやら♡やら♡ゆ、ゆび♡指がいい♡おねがい♡」
「私の言うこと聞けない悪い子の言うことなんて、聞ける訳ないでしょ」
「やだあ゛……ッ♡い、い子に、なる、からあ゛♡」
 は、は、と口から熱い息を吐きながら悟が身を捩る。自分から尖った先端に穂先が当たるように。恐らく無意識に、勃起を傑の太腿に擦り付けがら、もう片方の乳首に手を伸ばそうとする。その腕を掴んで阻止しながら、悟の首元に顔を寄せて息を吹き掛ける。焦らされた身体は感度が鋭くなっているらしい。ぬるい吐息に首元の皮膚が触れただけで、ぴくん♡と悟の肩が跳ね上がった。
「全然いい子になれてないよ、悟。お仕置きされたいの?」
「う、ん♡されたい♡すぐりゅに、お仕置きされたい♡」
 蕩けた顔で頭までやられてしまったのかと思うような台詞を吐きながら、悟はぎゅうと傑の身体にしがみついた。面食らう。猫になった所為で素直になってしまったのだろうか。いつもの跳ね返りっぷりも勿論可愛いのだが、たまにこういう快楽に従順な態度を見せるから、困る。結局悟を甘やかして、彼の要望に応えてしまう。
 ベッドに座ってと囁きながら、悟が腰を上げて座るのを手伝う。二人分の体重で、あまり頑丈ではないベッドが不吉に軋んだ。冗談抜きで、そのうち壊れるんじゃないかと思う。
 壁に背を預けさせ、悟のベルトを緩める頃には悟はもう期待しきったような色を目に浮かべ、喉をひくりと鳴らしている。頬を撫でると熱い。軽く撫でただけなのに、耐え切れないというようにこちらを見上げるのが可愛い。
「すぐる、」
 早くと急かすように腰を浮かせる。ジッパーを下げて、下着ごとずり下ろす。ぶるんと震えながら、既に兆している中心が露わになる。ピンク色の亀頭の表面をぬらぬらと濡らした先走り汁が今にも垂れ落ちて来そうだ。亀頭も高校生らしからぬ薄い色だが、元々皮膚の色が白い所為で、露出した亀頭の色との対比がより目立つ。陰毛まで白いのも、最初に見た時は随分驚いた。今となってはそこも含めて全てが愛しい。
「悟、私全然触ってないのに、猫じゃらしとマタタビだけでこんなにびしょびしょに濡らしたの?」
 エッチだねと、わざと羞恥を煽るようなことを囁けば悟の猫耳がぴくんと震えた。手に持った猫じゃらしを悟の勃起に近付ける。悟は期待と絶望とが絶妙にミックスされたような奇妙な表情をしてそれを見下ろしながら、顔を泣きそうに歪めた。
「すぐる、もうそれやらってえ……♡はあ゛ッ♡あっ♡あ゛っ♡」
 嫌と言う割には、悟はふわふわの毛の塊に竿をなぞられただけで喜色に染まった表情で喉を仰け反らせている。どぷ、と先端から零れた蜜が、ついに鈴口だけでは受け止めきれなくなってたらりと竿を伝い落ちてシーツに染みを作った。
「全然嫌そうじゃないよ、悟。私の指よりこっちの方がいいの?」
「ち、がう、やら♡――っうあ♡あ♡すぐう、だめ♡」
 敏感な先端に猫じゃらしを滑らせると、悟はビク♡と歓喜に腰を震えさせた。どっと溢れ出た先走り汁がピンクの毛の塊を濡らし、卑猥な蜜を吸った猫じゃらしの毛が水分を含んで重くなる。濡れたそれを亀頭に何度も往復させて、鈴口の小さな割れ目に滑り込ませれば、悟は両目に涙を浮かべていやいやと首を横に振る。
「ひにゃ……♡らめ♡すぐりゅ、さきっぽらめ♡あ゛ッ♡ん♡に゛ゃ♡らめ……♡」
 水分を吸った猫じゃらしで擦る度、くちゅくちゅと卑猥な音が部屋に響く。ぐっしょりと濡れた毛先でつんつんとつつく度に、玉になった透明な蜜が溢れ、零れる。指とは違う感触に戸惑うような素振りを見せながらも、悟はねだるように腰を前に突き出した。閉じられていた筈の両足がいつの間にか左右に開いて、足元のシーツをぐしゃぐしゃと掻き回している。
「す、すぐるう……♡そこばっか、も、やらあ゛……っ♡」
 震える膝を立てて、悟が誘うような目でこちらを見る。青く吸い込まれそうな大きな目が傑を見て、そろりと伸ばした指で勃起の更にその下の、尻の穴を拡げてこちらに見せつける。中の肉が、指にくぱりと拡げられて外気に晒される。ピンクの内壁がひく♡ひく♡と物欲しげにひくついて、呑み込む物など何もない筈なのに、奥へと迎え入れようと収縮を繰り返している。……舌打ちしたくなった。自分の雄が、一気に質量を増すのが分かった。――誘惑しようというつもりなのだろうが、それで誘惑されない訳がない。
「っ悟、ほんとに君は悪い子だね。我慢出来ないなんて」
「で、きない♡れきない、から、もう、ち〇ぽ挿れ、ッあ゛あ゛ッ!?」
 ずぷ、と、寂しそうな穴に自分のものを埋める代わりに容赦なく猫じゃらしを突き入れた。悟が身を仰け反らせ、悲鳴を上げる。けれどそれは痛みの所為ではなくて、細い毛の塊を入れられたそこは難無く毛の部分を全て呑み込んで、濡れた毛の塊を出し入れされる度に、悟はビクン♡ビクン♡と腰を跳ねさせて悦んだ。
「や♡それやらって♡すぐりゅ♡♡♡あ゛ッ♡ずぽずぽしないれ♡やら♡」
「君は我慢出来ないだけじゃなく、嘘つきだね、悟。ここにこんな玩具突っ込まれてずぽずぽされて嬉しい癖に」
「ちが、っひい゛ッ!? にゃ♡だめ、あ゛ッ♡」
 ぬぷ♡ぐぷ♡と濡れた音をさせて出し入れを繰り返せば、悟の身体は壊れたみたいに何度も跳ねる。そんな細い物では到底物足りない癖に、傑に虐められるのが嬉しいのか勃起したままの性器からもたらたらと先走り汁を零している。猫じゃらしを突き刺したままで勃起に手を伸ばし、握り込んだ竿を上下に擦ってやる。直接の刺激が気持ちいいのか、悟は恍惚に染まったような表情で甘い声を上げた。
「あぁ゛……ッ♡ち〇ぽしこしこ、きもちいい♡♡♡すぐりゅ♡もっと、」
 ぐちゅぐちゅと水音をさせて強く扱きながら、猫じゃらしをぬぽぬぽと抜き差しする。悟は前からと後ろからと同時に与えられる毒のような快感に蕩けたように目を潤ませ、絶頂への道を上り詰めるように腰を前に突き出した。
「ッあ♡も、イく♡イく♡♡♡イッひゃう♡♡♡すぐる♡」
「いいよ、イッて」
 許可を与えるみたいに優しく囁いて、搾り取るように扱く動きを激しくする。悟は身体をビクンと痙攣させ、びゅるびゅるとシーツに白濁を撒き散らせた。
「あ、っあ♡ひあ、あ゛♡きもちい♡」
 びゅ♡びゅっ♡と何度も勢いよく精液が飛ぶ。舌を突き出し、射精の快感に酔い痴れるように焦点の合っていない目をとろんと彷徨わせている。だらりと伸びた舌を掬い取るようにキスをして、舌を吸い、己の舌の粘膜を擦り付けながら、弛緩した悟の身体をベッドに押し倒した。重みと弾みでベッドが軋む。
「っん、♡う♡んん♡」
 悟の身体をベッドに縫い付け、魂ごと奪い取るかのように深く口付けながら、己の激しく猛ったものを悟の太腿に擦り付ける。痺れるようなビリッとした感覚が、脳に走る。獰猛なけだものが、身の内で暴れていた。外に出ようとするけだものの本性を、いつまで理性で鎮めていられるのか。全く自信がない。
「ん♡はあ♡は……ッ♡」
 息が出来なくて苦しいのか、悟は元々赤かった顔を更に赤く染めて眉根を寄せている。キスをやめる頃には悟はくたりと身を投げ出して、口の端からどちらのものなのか分からない唾液をたらりと零していた。
「はひ♡ひにゃ♡はー♡はあ……ッ♡♡♡」
 キスだけでまた勃っている悟の中心が、ぷるぷる震えながら表面を蜜で濡らしている。白い精液が白い肌の上に飛び散って、ベッドの上に無造作に投げ出された白い尻尾にまで少し掛かっていた。尻の穴から突き出たままになっている猫じゃらしが、悟がビク♡ビク♡と腰を揺らす度にぷらぷらと揺れ動いている。その棒の先を掴んで一気に引き抜く。ぬぽ♡と音をさせて体内から出て行くそれを反射的に追うように、悟の身体がびくんとしなった。
「ふあ゛ッ、あ、あ♡」
「っねえ、挿れてもいい?」
 元より挿れるつもりの癖にそんなことを蕩けた悟に訊く自分に内心で苦笑を漏らした。着ていたシャツを脱ぎ捨てて、スウェットと下着をずらして既にビキビキに勃起した性器を取り出した。悟の視線がそこに注がれる。これからされることへの期待と欲に塗れた視線が、太い竿に浮き出た血管や張り出したカリや先走り汁で濡れた亀頭にじっとりと這う。喉がごくりと鳴る音がはっきりと聞こえた。
「い、挿れて……♡すぐるのち〇ぽ、欲しい♡おねがい♡」
 自ら大きく足を開いて、緩んだ穴を見せつける。ぱくりと開いた後孔がピンクの肉を誘うようにひくつかせ、挿入を待ち侘びていた。こんな挑発の仕方をされて、健全な男子高校生が我慢出来る筈がない。
「ほんとに、……淫乱な猫、だね」
 常備しているローションを垂らし、ぬちゃぬちゃと扱くのも気が急いて、早く挿れたいと言わんばかりに悟の腰を掴んで柔らかい入り口に己の怒張の切っ先を宛がう。先端に触れただけで媚肉が吸い付いて来て、思わず熱い息が漏れる。悟が早く来てと言わんばかりに長い足を傑の腰に絡めて、首にまで腕を回して抱き着いた。
「すぐる……ッはひ♡あ゛あ゛ッ♡あっ!」
 ずぷんっ♡
 長さも太さもある硬いものでこじ開けるようにして奥まで一気に貫けば、悟は目を見開いてがくがくと身を痙攣させた。イッてう♡と舌足らずで呂律も怪しい声が鼓膜に届くが、勃ったままの前から精液は出ていない。ふっと口元に笑みが浮かんでしまった。
「メスイキしたの? 悟。女の子みたいなイき方、上手になったね」
 温かく包み込むような粘膜をずりずりと擦りながら浅い場所まで引き抜いて、ずぷずぷとまた凶悪なものを悟の中に埋めていく。内壁を擦られる快感を少しでも逃そうと、イッた余韻でまだ腰をびくつかせている悟が身を捩って抵抗しようとする。
「や♡あ゛ッ♡らめ♡すぐう、待って♡♡♡ッあ゛……ッ!?」
「さとるが挿れてってねだったんでしょ」
 押さえ込まれて犯されて、その状態で抵抗しようなんて無駄だ。無駄な抵抗を封じ込めるように、ごりっと音がしそうな程激しく悟の前立腺を押し潰した。悟の前立腺なんて、もう何度虐めたか分からない。何処にあるのか探し当てることには何の苦労もない。
「は、ひ……ッ♡」
 悦楽に染まったような顔で、ビク♡ビク♡と悟が腰を震わせる。堪らなくなってその唇にまたキスを落として、口内を貪りながらぐりゅぐりゅと前立腺を亀頭で何度もしつこく抉った。そこでキスするみたいに亀頭を押し付け、ずりずりとカリを引っ掛ける。首筋に噛み付きながら、悟が力もろくに入らない癖にまだ無意識の抵抗を繰り返すのに思わず笑う。
「無駄だよ、悟。逃す訳ないだろ」
「ああ、う♡らって♡すぐゆの、ち〇ぽ♡♡♡ふあ、あ゛ッ♡」  意味不明だ。だが悟が卑猥な言葉を口走っているのは物凄く興奮する。もっと色々言わせたくなって、「私のち〇ぽ、好きなの?」なんて訊いてみる。悟は潤んだ目でぼんやり傑を見上げて、何度もこくこくと頷いた。
「うん……♡すき♡すぐるのち〇ぽ、太くておっきくて、はあ゛ッ♡すき、」
「やらしいね、さとる」
「っや゛♡またおっきくな、ッひ!?」
 悟の台詞の所為でより質量を増してしまった勃起で硬くしこった前立腺を何度も押し潰す。悟は甘やかな声を上げながら身を震わせて、汗の浮いた額に白い髪を貼り付かせながらはくはくと浅く息を繰り返した。
「っん♡あ、あ゛ッ♡すき♡すぐる♡」
 悟はまた傑の腰に両足を絡めながら腰を前に突き出して、もっと深い場所へと傑のものを迎え入れようとする。その意図にすぐに気付いたが、傑はあえて奥へは侵入せずに浅い場所でずりずりと出し入れを繰り返し、こりこりと膨らんだ前立腺を張ったカリで執拗に擦り続けた。悟が眉根を寄せて、更にぎゅうと傑に抱き着く。
「すぐりゅ、っあ♡やぁ゛ッ♡そこばっか、やら♡お、奥も、奥も犯して♡すぐゆ、」
「っへえ? 奥も犯されたいの?」
 すり、と悟の猫耳を指で摩りながら、低い声で囁く。素直で従順になった悟はその問いにも必死で頷きながら、縋るように傑の背中に腕を回してぎゅうとしがみ付いた。
「う、ん♡おく、すぐうのち〇ぽで犯して……♡いっぱいこひゅって、中らしして♡」
 多分、人の悪い笑みが浮かんでいただろうと思う。悟にそういうやらしいことを言わせて、口に出すと余計に気持ちいいと覚え込ませたのは他でもない自分だから。悟は天性の才能の持ち主だったらしい。教えたのは確かに傑だが、煽るのが天才的に上手い。しかも恐らく無自覚だからタチが悪い。
「っにゃ、あ゛ッ!? あ゛ーッっ♡♡♡」
 ぐぷっ♡と容赦なく深い場所まで突き刺せば、悟はビクビクビク♡と死にかけの動物よろしく痙攣して、びゅっ♡びゅっ♡びゅく♡と断続的に白濁を性器の先から吹き零した。中がきゅうきゅうと収縮して、傑の性器に媚びるように絡み付く。全部持って行かれそうになるような快感に必死に耐える為に一拍間を置いてから、イッている悟を遠慮なく責め立てる。ず♡ぬぷ♡ぬちゅ♡と濡れた音をさせて性器を抜き差しすれば、絶頂の最中で余裕が一切ない悟が狼狽したように声を上げる。
「ふあ゛ッ♡まってすぐゆ、待って♡今イッて、ひうッ♡」
「っは……、さとる、イッてる時に突かれるの、わけ分からなくなって気持ちいいから、好きだろ」
「う、ん♡すきぃッ♡イきながら、すぐりゅのち〇ぽで虐められるの、すき♡あ、あ゛ッ、あ゛んッ♡♡♡」
 中に亀頭を擦り付け、襞をカリで擦りながら引き抜いて、また襞を虐めながら深い場所へと挿入する。悟はもはや何をされても気持ちいいらしく、挿入しながら身を寄せて首筋を噛んでも甘い声を上げて悦んだ。皮膚に歯が食い込むくらいの力で噛み付かれ、鋭い痛みを与えられて、痛いのが嬉しいみたいに中が締まる。思わずイきそうになるような締め付けをするメスの穴に苛立って、思い切り奥までばちゅっと怒張を打ち込んだ。
「あ゛ーッ!?♡♡♡にゃ♡あ゛ッ♡きもちい♡ひあ゛ッ♡」
 がくがくと悟が痙攣し、色も粘度も薄くなった精液を撒き散らした。つられるように傑も射精してしまう。どろどろの腹の底に溜め込んんだ感情が爆発するみたいに、どろりと濃い白濁が悟の中に注ぎ込まれる。イくつもりではなかったところで欲をぶちまけてしまうなんてと己に苛立つが、悟はそんな傑の心情になど気付いていない。イきながら中に熱いものを放出されて、奇妙に口元を歪めて弛緩した表情で笑っている。
「はひ……♡すぐりゅのせいえき、あつい……♡」
 搾り取ろうとするように蠢く襞の動きにつられて、びゅくびゅくと長く尾を引く射精がなかなか終わらない。ようやく全て注ぎ入れる頃には悟はぐたりとベッドに身を投げ出して、二人とも汗まみれになっていた。は、と息を吐き出しながら、ずるりと一度出して萎えたものを引き抜く。開いたままの悟の窄まりが名残惜しそうにひくついて、先程自分が出したどろりとした塊が逆流してシーツを汚した。ひくっ♡ひくっ♡と震える穴から、たらたらと白濁が流れ落ちていく。――こんな卑猥な光景を目の当たりにして、再び性器が頭をむくむくともたげて来ない筈がない。
「さとる、もう一回するよ」
「っえ……?」
 ぼんやりと天井を見つめたまま、傑の言葉もあまり耳に入っていない様子の悟の片足を持ち上げる。自分の肩に足を乗せて、既に固くなり始めている性器を数度扱く。にちゃにちゃと音をさせて、すぐに硬度も質量も取り戻したそれを、再び悟の入り口に宛がう。流石に悟が我に返ったように目を瞬かせ、ようやく焦点が合ったような目で傑を見た。
「っす、すぐる、」
 待ってだとか今はだめだとか、制止の言葉が掛かるより先に一気に最奥まで捻じ込んだ。先程の行為で充分柔らかくなっている場所は精液の滑りも借りて難無く奥までの侵入を許して、嬉しげに竿に襞が絡み付く。しかし身体の方は準備万端でも悟自身はいきなり挿入されてパニックに陥ったようで、目を見開いて身を仰け反らせた。
「っあ゛ッ!? にゃ♡待って、あ゛ッあ、あ゛ッ♡」
「悟の好きなとこ、いっぱい虐めてあげるから」
「っひ、う……♡」
 足を抱え上げられて、逃げられない体勢のままで腰をぐっと前に突き出す。ごつん、と亀頭が悟の一番深い場所の壁に当たる感覚があった。
 ビリビリと、痺れるような感覚が全身を支配する。ここを、今から破る。これは侵入不可の壁ではなく、傑にしか入ることの許されない扉だ。ただ一人自分だけが、ここをこじ開け、入ることを許されている。雄としての悦びが、激しい血流となってどくどくと全身を駆けた。
「すぐる、……ッや♡やだ♡待って、待っ、」
 ごつ、ごちゅ♡と何度も小刻みに奥へと亀頭をぶつけながら、強張った悟の緊張を解すように、悟の白い性器に手を這わせる。挿れられただけで既に兆していたその場所を、握り込んで上下に扱く。与えられる快感に、従順に反応を示す悟の奥が、徐々に緩んでいくのが分かる。
「は♡にゃ……♡すぐう♡らめ♡お、おく、もう、入んないってえ♡」
 どう見ても、だめだという態度ではない。蕩けて潤んだ目も、涎で濡れた唇も。ぺたりと寝そべった耳も。だめと言いながら期待していると、ありありと分かる。ほんの少し説得すればあっさりと堕ちることも、顔を見れば明らかだった。
「大丈夫だよ、悟。ほら、少しずつ開いて来たでしょ。ね?」
 優しく子供に言い聞かせるみたいに喋りながら、先走り汁が溢れてぬるぬると滑る竿をぐちゅぐちゅと扱く。扱きながら、奥に入れたまま悟の身体を小さく揺すぶる。開きかけた場所に吸い付いた亀頭が、ぱちゅ♡と濡れた音をさせた。
「っあ゛……ッ♡や、やぇ゛、」
「やらしい。悟の奥の口、吸い付いて、もっと欲しいって言ってるよ」
「言って、な、ッん゛♡や♡う、すぐる♡」
 トン、トン、と軽くノックするみたいに、ただししつこく何度も執拗に、亀頭で奥を叩く。一定のリズムで、あくまで優しく。決して性急に進めず、ゆっくり。襞が性器に吸い付いて、きゅんきゅんと収縮している。徐々に、ゆっくりと、少しずつ少しずつ、入り口が開いていく。それが自分でも分かるのか、悟が身を捩り、焦ったような表情で逃げようとするので少しずつ体重を掛けて、少しずつ深い場所へと性器を埋める。ゆっくりと、慎重に。
「らめ゛♡そことんとんしちゃらめ♡♡♡あッ♡やら♡」
「どうして? もう少しで入るよ」
「は、はいっちゃらめ♡」
「どうしてだめなの? 悟」
「らって、は、はいったら♡俺、おかしくなりゅ、――ッひ!? あ゛ぁ゛ッ……♡」
 ぐぷんっ♡
 聞き慣れない、ともすれば薄気味の悪い奇妙な音をさせて、ついに緩んだ奥の口に傑の亀頭が入り込んでしまった。狭くて、締め付けられる。きゅうとうねって、快感が腰を直撃した。
 ビクンッ♡と悟の身体が大きく仰け反って、目を剥いて激しく身を捩ろうとする。イッてしまいそうな程の刺激に耐えながら、押さえ込む為に益々体重を掛けて悟にのしかかる。その所為で、より深い場所に咥え込む羽目になって悟が涙目で嗚咽のような悲鳴のような嬌声を漏らした。
「ッあ゛♡うあ、あ゛ッひい゛ッ!?」
 びゅ♡びゅる♡と悟の性器の先から殆ど透明に近い精液が飛んだ。飛沫が、悟の腹といわず顔といわず飛び散って白い皮膚を濡らす。ぐぷ♡ぐぽ♡となおも人の身体から発せられるとは思えない音をさせてカリ首までを結腸に出入りさせる度、悟の身体がビクビクと痙攣を繰り返した。
「す、すぐりゅ……♡も、おぐ、らめ゛♡やだ♡や……♡」
「……やなの? でも、ここ、全然嫌そうじゃないよ」
 入り口の一層狭くなっている部分を、ぐぷぐぷとカリの段差を使って押し潰す。あまりの快感に悟が力なく首を横に振り、押さえ込まれて逃げ場もない所為で強く激しい快感をひたすら享受させられてぼろぼろと両目から涙を零す。訳が分からなくなるような快感に襲われて、溢れて来る涙が止まらないみたいに。
「あ゛ッうあ♡らめ♡そこ、ぐぽぐぽすりゅの、らめ♡」
「だめ? ねえ、こんなに吸い付いて来るのに?」
 ぬぶっ♡と狭い入り口の先にカリ首まで埋めると、悟がまたびゅるりと射精した。搾り取るように吸い付いて、媚びるように食む癖に、何処がだめなのか。蕩かされて快感を覚え込んでしまったような奥の口を、ねっとりと腰を使って虐めながら、薄らと口元に笑みが浮かぶ。
「ひぐ……ッ♡らって、もお、それやら゛♡おがじぐ、なるう……ッ♡」
「大丈夫だよ、さとる。悟がおかしくなっても、私は悟のこと好きだし、私がずっと面倒見てあげるから」
 囁きながら、埋まったままの先端を結腸の入り口に引っ掛けるようにして抜く。くぷっ♡と水音をさせて抜けていく先端に、入り口が吸い付く。緩んだそこにまた腰を打ち付けて、先端を埋める。繰り返す度、悟の口から媚びるような甘い声が漏れる。傑の背にぎゅうと爪を立てて、また射精する。連続でイき過ぎて、ぐたりと弛緩した身体がベッドに倒れ込んでも許さずに、緩んだ奥の口をぐぷぐぷと虐め続ける。
「あ、あ゛ッ♡あん゛ッ♡♡♡ひ♡すぐりゅ♡♡♡も、出ない♡イくのやら……ッ♡」
 ぷしゃ♡♡♡
 間の抜けた音と共に悟の性器の先から透明な液体が飛び散る。無色無臭の体液。小刻みに腰を使って奥を突く度、ぷしゅ♡ぷしゃ♡と潮を吹く悟が可愛くて、白い髪を掻き上げて汗まみれの額にキスを落とした。 「はあ゛ッ♡あ゛ッ♡何、やら♡」
「上手に潮吹き出来て偉いね、さとる」
 三角の耳をさわさわと撫でれば、悟はなおも噴水のように潮を噴き上げながらビクリと身を竦ませた。
「潮吹くくらい気持ちいいなんて、悟、もうここ、立派なメスのお口だね。やらしい」
 そこがもうメスの器官だと、性感帯だと、悟に覚え込ませるように低い声で囁く。洗脳されているみたいに、悟が恍惚の表情でこくんと頷いた。
「う、ん……♡めしゅのおくち♡なってう♡やらしいとこ、すぐりゅのち〇ぽでこひゅられるの、しゅき……♡」
 すっかり結腸での快感を覚えてしまったらしい悟が、とろんと蕩けた目をして卑猥な言葉を口走る。呂律が大分怪しい。たまらなくなって、奥に嵌め込んだままの怒張で中の肉をこそぐようにごりゅごりゅと擦りながら、射精への欲求がどんどん暴発しそうになるのを感じる。限界が近付いて来る。すぐそこまで、暴力的な熱が競り上がって来ている。
「っねえ、中に、奥に、出すよ」
「はあ♡♡♡出して♡♡♡すぐうの、せいえき、俺のめしゅのおくちにいっぱい出して……♡♡♡」
 ねだるように悟が舌を出す。赤く濡れた舌が、挑発するように口の中から覗く。捕えて貪り食って、食い尽くしたくなる。本能のままに舌を絡め取って獣のようなキスをしながら、熱く粘つく精液を、悟の一番奥の場所へぶちまけていた。
「っう、」
 思わず顔をしかめて短く呻きながら、どくどくと濃いものを注ぎ込む。唾液の味も粘液の味も悟の身体に覚え込ませるように、体液を悟の上の口にも下の口にも大量に流し入れる。体液も粘膜も混じり合ってどっちの物か分からなくなるくらいに、一体化してしまうくらいに、悟と深く繋がりたかった。
 中に、しかもこんな奥に出すのは悟の身体に負担が掛かるだとか、最初は外に出すつもりだったとか、そんなことは、もはや頭から消し飛ぶくらいに、悟の奥に欲望をぶちまけるのは気持ちがよかった。理性が飛ぶ。支配欲、征服欲、独占欲、加虐心、全部一気に満たされる快感にくらりと眩暈がする。
 どろどろした欲が全部満たされている、筈だ。でも、満たされれば満たされる程足りなくなる。何故だろう。一体何処まで、悟と繋がれば満たされるのか。いっそ、繋ぎ止めておきたいと思う。そんな願いは叶う筈もないのに、そう思わずにいられない。
「すぐ、る……♡すき♡すき……っ♡」
 うわ言のように悟が好きと繰り返すから、私も好きだよといいながら、また彼の額に唇を付けた。
 悟の性器からはもう精液が出ないようで、透明な液体だけが、たらたらと力なく竿を伝い落ちていた。
 ぐぽっ♡とまたくぐもった音をさせて性器を引き抜く。あまりにも深い場所へ入り過ぎていた所為か、開き切った悟の熟れた穴から精液が逆流して来るまでに、少し時間が掛かった。
 ぐたりと身を横たえたまま動かないのに、耳と尻尾が、時折ピクン♡と動くのが可愛いので、猫のまま元に戻らなくてもいいかもな、とふざけたことを考えてしまった。


 しかし物事がそんなにうまく行く筈はなく、翌日になると猫耳も尻尾も綺麗さっぱりなくなってしまって、元通りの姿の悟が教室の自分の席に座っていた。
「あれ、戻っちゃったんだね」
 勿論、耳と尻尾がなくても悟のことを好きな気持ちに変わりはない。だが少々残念な響きが声に混じってしまっていたようで、教室に入って来た傑を見上げた悟はにっと笑った。サングラスをずらして、綺麗な青い目が悪戯っぽく輝いているのをこちらに見せる。
「傑クンはコスプレプレイが好きな変態ってワケ? ふーん。へー。じゃあまた猫の呪霊探して呪われに行ってやるよ」
「やめて、それは」
 というか決してコスプレが好きな訳ではない。硝子や夜蛾がまだ来ていなくて良かったと思った。悟はむうと頬を膨らませた。些かあざとい。たまにわざとやっているのかと言いたくなる。わざとなのか無自覚なのか、悟がやると全く分からないところも含めてあざとい。
「あっそ。じゃあド〇キだな。今度はどんな格好の俺とヤりたいんだ? バニーガールとか?」
「……」
 バニーガールの格好をした悟もアリだな、と一瞬思ってしまったが、煩悩を振り払うように軽く頭を振った。溜息を吐いて、悟の席の前に立つ。白い髪に触れると、やっぱりさらさらに見えて意外とふわふわで手触りがよかった。
「さとる、私はどんな悟でも可愛くて好きだよ」
 途端にぶわ、と悟が頬を赤く染める所為で、こっちまで恥ずかしくなってきた。ぶわ、と、多分自分の顔もつられて赤くなっている。がら、と教室のドアが開いた。
「おはよー」
 教室に入ろうとして、はたと硝子が足を止めた。見つめ合って、しかも頭を撫でたりしながら、赤面している長身の野郎二人。朝から見たくもないものを見せられて、硝子が思い切り顔をしかめて「きっしょ」と不機嫌な声で罵った。
「……ごめん」
「教室でいちゃつかないでくださーい」
 小声で謝る傑の方を見もせずに、硝子が鬱陶しそうに言い捨てた。「硝子も混ざる?」なんてふざけた提案をする悟に硝子の鋭い視線が刺さる。
 居たたまれなくなって自分の席に座りながら、振り払った筈の煩悩がまた脳の隙間に入り込んで来る。いつの間にか傑の頭の中は、バニーガールのコスプレってド〇キに行けば手に入るのかな……という煩悩にまみれた思考で一杯になっていた。

(終)